EDの治療は、薬の服用が一般的ですが、男性ホルモンを利用した治療、器具を使った治療、海綿体注射による治療などの方法があります。
薬の服用による治療は、主にバイアグラ錠、シアリス錠、レビトラ錠を用います。
EDの約7~8割はこれらの服用で治ります。
生活習慣病や加齢などにより動脈硬化になり血流が悪くなることによって起きる血管性のEDに効果があります。
勃起は体内で生成される自然の血管拡張剤であるサイクリックGMPの作用により起きますが、陰茎海綿体にはこれを分解してしまうPDE5という酵素も豊富に存在しており、バイアグラなどのED治療薬は、このPDE5の働きを阻害することでサイクリックGMPを増やし、勃起しやすい状態に導く薬です。
かかりつけの内科や近くの泌尿器科、心療内科等でED治療薬を処方してもらえます。
ED治療薬を常備していないところもあるので、事前に電話で相談してみましょう。
薬を服用している人は、お薬手帳か服用している薬を持参しましょう。
薬によっては併用すると命に関わる危険な状態に陥ることもあります。
持病や既往症についても、命に関わる場合もあるので、正直に話しましょう。
医療機関の受付で問診票を書き、医師の診断を受けて、薬を処方してもらいます。
医療機関によっては、検査をするところもあるようです。
なお、日常の強いストレスや過去の性交渉の失敗が精神的に尾を引くことによって起こる心因性EDは、薬の服用によらず、心理カウンセリングのみで治ることもあります。
男性ホルモンを利用した治療は、アメリカでは盛んに行われているようです。
勃起作用に不可欠な男性ホルモンの軟膏を塗ったものを内股に貼り付けます。
なお、男性ホルモンは、前立腺肥大や前立腺がんの進行というリスクもあります。
器具を使った治療は、糖尿病で末梢神経に障害があったり、脊髄損傷で伝達神経に障害がある人向けの治療方法です。
陰圧式勃起補助具を使用して、人為的に勃起状態をつくります
陰茎にプラスチック製のシリンダーを根元までかぶせ、ポンプで中の空気を抜いてシリンダー内に陰圧をかけることで海綿体に血液が流れ込み、陰茎は勃起状態となります。
その後、陰茎根元をリングで締め付けて血液の流出を防ぎ、勃起状態を維持します。
陰茎海綿体注射治療法は、プロスタグランジンという血管拡張薬を陰茎海綿体に直接注入して、強制的に勃起させる治療法です
性的な興奮や脳から陰茎への神経による刺激の伝達がなくても勃起するため、糖尿病や脳梗塞などの病気によるED、手術や外傷などの後遺症としてのEDなど、さまざまな原因によるEDに効果があります。
医療機関によって異なりますが、自分で注射することができる自動注射器を処方してもらえば、注射のたびに医療機関に行く煩わしさはありません。
陰茎プロステーシス移植手術は、陰茎海綿体の中に器具を入れ、手動で勃起状態を作り出すもので、他の方法がすべて無効だった場合に選択されます。
通常の勃起は陰茎海綿体の中に多量の血液が入り込んで充満することによって起きますが、血管に致命的な障害があるなど、それが難しい場合に、陰茎海綿体の中に入れた器具が血液の代わりとなって勃起状態を作り出してくれます。
陰茎プロステーシスには2種類あります。
1つは棒状の器具を入れるタイプ、もう1つは血液の代わりに液をポンプで移動させるタイプです。
棒状の器具を入れるタイプは、器具を陰茎海綿体に埋め込み、それを性交時に手で伸ばして勃起状態にします。
器具が入っているため、陰茎は常に硬い状態になってしまいますが、通常時には折り曲げてサイズを小さくすることが可能です。
一方、ポンプで移動させるタイプは、腹部に液を貯める小さなタンク、陰嚢にポンプ、陰茎にシリンダーを埋め込み、これらを管でつなぎます。
性交時に、陰嚢に入ったポンプを手で調節して、腹部のタンクに入った液を陰茎のシリンダーの中に移動させると、血液が陰茎海綿体に充満したのと同じ状態で勃起します。
性交が終わったら、再びポンプを調節して、液をタンクに戻します。
陰茎プロステーシス移植手術は、陰茎海綿体の中に器具を入れるので、組織は壊れてしまい、二度と自然な勃起を望むことはできません。
したがって、他の治療法で効果がなかった場合にのみ行う、最後の治療法です。
なお、2本ある陰茎海綿体のうちの1本に棒状の器具を埋め込む方式は、埋め込まれていない方には血液が流入するので、温かくて弾力のある自然に近い勃起となるようです。
次回は、おなじみのバイアグラ等のED治療薬について書いてみたいと思います。