性的同意

  • 2024-11-22
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性的同意とは、性的な行為の前に相手の同意を確認することです。2023年(令和5年)7月13日、性犯罪の規定を見直す改正刑法が施行され、不同意性交等罪が新設されました。犯罪の構成要件として、性的同意の有無が重要となっています。性的同意とは、性的な行為を行うことへの同意であり、お互いの積極的な意思を確認することです。

では、性的同意とは、どういうことなのでしょうか。たとえば、お茶を飲むときに、相手の気持ちが変わった時や意識がない時などに「絶対に無理やり飲ませてはいけない」ということで、お茶を飲むかどうか事前に聞くということです。

同意というのは、人生にとても大きな影響を与える重要な概念です。意思を確認しなければ、相手に多大な害を与える可能性があります。生き物は何か怖いことがあると、戦うか、逃げるか、固まる(フリーズする)か、です。人間がフリーズすることもあり得ます。だからこそ、積極的な同意の有無を問うことは大切です。

刑法は、より「同意の有無」に注目する形に改正されました。つまり、相手の自発的な同意を確認しない性行為は、処罰されることになりました。

日本では、何を同意とみなすか、解釈に差があります。米国であっても、「セックスしよう」などと、何でもストレートに口に出すわけではありません。大前提となるのは、その場面を主導している人が、相手の意見を聞くことです。言葉以外の情報だけに頼ると、判断を誤ります。

例えば、一緒にバーに行っても、ダンスをしても、それは性的な行為まで「イエス」とは言っていません。一つのことに「イエス」と言ったからといって、他の全てのことに同意したわけではありません。

毎回同意を取るのは大変だと思うかもしれません。でも、車で横断歩道を横切る時は、事故が起きないよう、毎回ちゃんと確認します。それと同じことです。相手の意思を確認せずに行動すると、とでも嫌な思いをさせる、ということになります。

「性的同意」を確認するとしても、関係性によっては直接聞くことができない場合もあるでしょう。自分が恋人の「性的同意」を取れているのか不安と思う人はたくさんいます。お互いの体のことなので大事にしたいのですが、その不安を相手に確認してもよいものなのか、聞くことで嫌がられるのでは、と悩んでいます。

なぜ「確認の難しさ」を感じるのでしょうか、それは「性的同意」という概念に「セックス」を当てはめすぎているからです。例えば友人と食事に行く時、中華料理を食べたい人と、イタリアンを食べたい人がどちらもいたら、折衷案や両者の希望を提示しながら、話し合いが進んでいくはずです。こういった場面で「じゃあ同意書を先に書かせればいいのか」なんて議論は起こりません。なぜなら、多くの人にとってそのコミュニケーションは“当たり前”ですから。

性的な行為も同じことがいえるはずです。それどころか、より暴力性をはらみやすいため、本来ならば食べ物について以上に、いつでも「NO」と言っていいし、100%のYESでないことは断っていい。

実際のところ、パートナーシップがあっても「性」に関して触れづらいとの声は多くあります。社会でいかに「性」が抽象的に扱われ、暴力性を持って形骸化されてきたかということです。「性」が「エロ」として消費され、「エロ」が誰かを客体化したり、暴力性を帯びたりする時、いつの間にか、自分や誰かの身体をモノのように扱ってしまうのです。

本当の同意を求めるならば、日頃のコミュニケーションのあり方や、相手や自分の「メンタルヘルス」について話せる環境が整っていることも大切かもしれません。日頃のコミュニケーションの土台となる練習として有効なのは、「マッサージをしあうこと」です。それを介せば、「どこに触れられるのが好きか嫌いか」などが話しやすくなります。

2023年、刑法が改正され、不同意性交罪・不同意わいせつ罪ができました。これまで脅迫や暴行がなければ「同意があった」とみなされてしまっていたものが、その要件も変わり「不同意」という観点に焦点が当たるようになったのです。法改正をきっかけに「相手の体に触れる以上必要不可欠なこと」という重たさが浸透してほしいと思います。

性的同意で誤解されやすいのが、「家に泊まるのは性行為をしてもよいというサイン」、「付き合っていれば性行為をするのは当たり前」という概念です。これらは、いずれも性的同意は取れていません。

性的同意の取り方としては、思い込みを排し、コミュニケーションを取るよう意識することです。同意は、対等な関係で、強制されないことが大切です。行為を起こす側に責任があります。加害者にも被害者にもならないために、多くの人に知ってほしいと思います。

物事は相手の同意を得て進めることが当然なのに、性に関しては「雰囲気で」という風潮があります。それがセクハラにもつながっています。世間一般では「家に行った方が悪い」と被害者が非難されることもありますが、それは違います。同意がない行為はしてはいけません。嫌なときには嫌と言える、被害者は絶対悪くないと言える、という人が増えてほしいものです。

次回は、不同意性交罪について、書いてみたいと思います。

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セラピスト兼カウンセラーのstar です。

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