あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)の規定により、あん摩マッサージ指圧師免許もしくは医師免許(いずれも国家資格)がなければ、マッサージを業として行うことはできません。
業とは、不特定多数に対して、反復継続の意思をもって施術を行うことで、その対価の授受は問わない、と定義されています。つまり、無料でも法律違反になります。
マッサージ行為は、国家資格がないと法律違反になりますが、近年オフィス街や温浴施設などを中心に、国家資格を持たない施術者が同様の行為を行っているエステ、カイロプラクティック、整体、リラクゼーション、足つぼマッサージ等の簡易マッサージ専門店がどんどん増えてきています。
法律上どのような「行為」がマッサージであるかの定義がないので、実質はマッサージ行為であっても、「これはマッサージではない」と言われれば、指導を所管する保健所はどうしようもないというのが実態でした。
しかし、2004年1月14日、神奈川県警生活経済課と厚木警察署は、無資格マッサージ師を派遣した会社の会長と社長を逮捕しました。これは、県警の照会に対して厚生労働省がマッサージの定義を「体重をかけ、対象者が痛みを感じる強さで行う行為」と回答し、これを受けて県警は摘発に踏み切りました。
被疑者は、「ボディーケアで、マッサージではない」と容疑を否認したそうですが、実際の施術内容で判断されています。ちなみに、県警が押収した会社の台帳には、「ろっ骨にひびが入った」「首が動かなくなった」など24件の苦情が記録されていたそうです。
実態として国家資格を持っていない人がリラクゼーションサロンや、温泉施設の癒し処でマッサージを行っていますが、、これらはマッサージではなく、揉みほぐしということになります。しかし、どの行為がマッサージで、どの行為が揉みほぐしなのか、という明確な違いは法律には書いなく、一般の人からすれば違いは分かりません。
強いて言えば、国家資格を持っている人が行うマッサージは、時間で料金が決まるのではなく、病院と同じく症状に対しての対価を支払う形になります。それに対して、揉みほぐしは、決められた時間内で疲労回復を行い、その時間に対して対価を支払う形になります。
マッサージは血流に沿って施術を行い症状を改善していくのに対して、揉みほぐしは筋肉をほぐして血流を良くしたり疲労回復を行うといった、アプローチ方法の違いもあります。また、マッサージは治療が目的で、揉みほぐしはリラクゼーションという疲労回復が目的になります。
そのため、多くの店では「マッサージ」という言葉を使わず、「揉みほぐし」や「リラクゼーション」という言葉を使うようにして、なるべく法に触れないようにしています。
揉みほぐしをする場合は、疲労回復が目的ですから、人体に危険が伴う行為は絶対にやってはいけません。強く押して痛くなったり、揉み返しで痛くなった場合、通報されたら、逮捕されます。また、リフレクソロジー、カイロプラティック、エステなどを掲げた看板には、「マッサージ」と表記すると、法律違反に問われることがあります。
店によって特徴は違いますが、様々な人がマッサージをしており、多く経験を積んで人気の人もいれば、マッサージ師の国家資格や、エステティシャンの民間資格などを持っているプロもいます。しかし、街中にあるようなマッサージ店にいるマッサージ師は、全員が資格を持っているわけではなく、何も資格を持っていない人も意外と多くいます。
ずさんなマッサージもどきのリラクゼーションサロンも存在します。そういうところで施術を受けたことで、逆に身体を壊してしまったという例もあります。
リラクゼーションサロン等にも、マッサージ師の国家資格を持つ人が働いている場合もありますが、治療を行うには、そのための申請による手続きが必要です。したがって、リラクゼーションサロン等に勤めているのであれば、揉みほぐし以外のことはできません。
揉みほぐしなどのマッサージ類似行為は国家資格がなくても可能ですが、しっかりと知識と技術を身につけるだけでなく、マッサージとの違いも理解して行わなければなりません。特に、痛みがある場所に施術を行うことは可能な限り避けて、トラブルにならないように努めることも大切です。また、勉強会等でスキルアップすることも大切です。資格が必要ないからといってルール無用ということではなく、衛生規則、薬事法、あはき法、広告などの知識は必要です。
日本には憲法上、職業選択の自由などの幸福追求権があるため、法律の範囲内であればどのような職業を考案しても自由です。整体師やセラピストは、国家資格ではないので、技術を身に付ければ誰でも名乗ることができます。整体やリラクゼーションに対して専門の法律がないので、保健所への届出も必要ありません。開業する場合は、税務署へ個人事業の開業届を提出するだけで開業することができます。職業は自由業となります。
なお、メンズエステやエステサロンでは性的サービスは一切できません。異性の客の性的好奇心に応じてその客に接客する役務を提供するような営業をするのであれば、射精の有無にかかわらず、性風俗特殊営業に該当するので公安委員会(警察署)への届出が必要です。ただし、性的サービスを無料でやる場合は営業に該当しないので、届出は不要です。
次回は、女性の性感帯について、書いてみたいと思います。