コンドームには、男性器に装着するものだけでなく、女性器に装着するものもあります。
女性用コンドームは、膣内に装着して精子の侵入を防ぐ女性用避妊具です。形状は、膣の入り口から子宮口までの膣全体と同じような形となっています。
膣内に入れるペッサリーは、子宮の入り口の手前に膜を張って、精子の侵入を防ぐ女性用避妊具です。
どちらも避妊の効果は得られますが、この２つには大きな違いがあります。それは女性用コンドームは膣全体をカバーしているのに対し、ペッサリーは子宮口の部分だけということです。
ペッサリーには、精子の進入を防ぐ避妊の効果はあっても、性感染症の予防効果はありません。女性用コンドームは、男性用コンドームと同様に接触部分が少なく、精液を完全に遮断するため、かなりの確率で性感染症を防げます。
材質は男性の薄型コンドームにも使われているポリウレタンやポリエーテルが使用されています。
女性用コンドームのメリットは、男性用コンドーム同様、正しく使えばかなり高い避妊率（９５％）です。またコンドームを除く他の避妊法よりも性感染症を予防できる可能性も高くなっています。
女性用コンドームのデメリットは、１つは装着には慣れが必要です。正しく装着することはなかなか難しいです。２つ目は女性用コンドームが日本での入手が困難となっていることです。男性用コンドームは普及率や避妊率の高さ、装着の容易さから様々な場所で売られています。それに対し、女性用コンドームは、どれも劣ることからほとんど供給されていないのが現状です。ドラッグストアなどでは販売されていないため、ネット通販を利用することになります。
女性用コンドームの使い方
①女性用コンドームを広げ、外リングを上にして中に入っている内リングを底部に移動させます。
②内リングを外側から持ち、外リングが下になるように垂らします。
③人差し指が内リングの先端に来るように添え、親指と中指で押さえ、３本の指で内リングを細長くした状態にします。
④女性用コンドームを持った手のひらを上に向け、もう一方の手で膣の入り口を広げます。
⑤内リングを細長くした状態のまま、膣内へゆっくり挿入します。
⑥内リングが大部分挿入できたら、人差し指をいったん膣の外に出します。
⑦今度は人差し指を女性用コンドームの内側から入れて、内リングの後方に向かって膣の奥まで押し込みます。この時、人差し指は完全に膣内に挿入されるはずです。
⑧外リングは膣入り口周辺を覆うように、膣の外を広げておきます。
⑨性交時は男性器が女性用コンドームの内側に挿入されていることを確認してください。
⑩性交の後は精液がこぼれないように注意深く引き出し、捨ててください。
このように慎重に膣内に入れていかなければいけないため、男性用と違い装着に慣れが必要となります。性交する前に装着するなど事前準備がいるため、ムードが壊れるので、これが普及しない理由の１つともいえるでしょう。
女性用コンドームはラテックスを使っていないため、ゴムアレルギーの心配はありません。
しかし、膣内や外陰部にかゆみ、かぶれ、出血、びらん等の異常がある人、あるいはパートナーである男性のペニスに炎症などを起こしている場合は使えません。
また、男性用コンドームとの併用はできません。摩擦によって破れたり、正しい位置からずれる可能性があります。
薄いフィルムなので、長い爪などで破らないように取扱いには注意が必要です。
男性用コンドーム同様、一回のセックスに付き１個の使用となります。また使用後は速やかに精液がこぼれないように引き出す必要があります。
使用した女性の感想は、①ペニスを出し入れするたびにゴワゴワする。あまり気持ち良さを感じない。②違和感があり、男性用コンドームの方がよほど自然にできる。③女性用コンドームを装着するのにも慣れず、感触もダメで、気持ち悪かった。④外陰部に出ているコンドーム部分を女性が押さえていないと外れそうになるし、フィルムの音がして冷めるし、集中できなかった。と、女性側からはあまり良い意見は出ていません。
ただ、産後あるいは更年期で閉経後の性交痛を軽減できることから、そのような女性たちには安心感のある製品となっているそうです。
男性からの感想は、①膣の濡れの感触は無い。内部には潤滑剤が塗ってあるが、必要に応じてローションや潤滑剤を追加しないと辛い。②男性は自然な締め付けを感じられるのでまた使用したい。等です。
女性が主体的に利用できる避妊法という触れ込みで発売された当時に使ってみたことがありますが、装着時の外観の問題、膣内で胴部がしわになって密着感がなく違和感を覚えることから、男性用コンドームよりも良くなかったことを覚えています。
次回は、コンドームにまつわるいろいろな話について、書いてみたいと思います。
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