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カーマ・スートラの第二部は、性交篇です。性交体位の関係で、男性器と女性器を、大きさで、それぞれ三種類に分類しています。男性は、小さい方から、兎男、牛男、馬男、女性は、小さい方から鹿女、馬女、象女です。男性器のウマ並みという言葉は、ここから来たのでしょうか。
性器の大きさによる性交の組み合わせは全部で九種類ですが、望ましい組み合わせは、それぞれ対応する同種性交の三種類だそうです。それ以外の組み合わせでも、男性器が大きい場合は、緊密な性交が行われるので、隣り合わせの二種類が高度性交、さらに離れている一種類が最高度性交と言われています。反対に男性器が小さい場合は、二種類の低度性交と一種類の最低度性交があり、ともに望ましくないそうです。アソコが大きい女性は、ペニスが大きい男性とセックスをせよ、ということなのでしょう。
性欲の強弱についても、三種類に分類しています。性交に際して快感が少なく、精力も弱く、かつ愛戯に耐えられない男性が情欲の少ない人で、この欲情が中程度の男性と、激烈な男性がいるそうです。女性も、同様に三種類に分類され、組み合わせによって九種類あるとされています。
性交の持続時間も、男性については、早い者、中程度の者、長時間に及ぶ者の三種類に分類しています。女性については、性的な満足が続く時間、あるいは性的満足に到達する時間など、いろんな考え方があるようですが、とりあえず女性も三種類に分類され、組み合わせによって九種類あるとされています。
性交および性交に至るまでの段取りついても、詳しく述べられています。初めは、抱擁の様式について、です。
未だ契りを結ばない状態の愛し合う二人にとって、愛情のしるしを現すのに、接触抱擁、貫通抱擁、摩擦抱擁、圧迫抱擁の四種類の抱擁があるとされています。
接触抱擁とは、口説こうとする相手の女性が近くに来ており、男性が何らかの別の口実を設けて女性に近づき、身体と身体が触れあう抱擁です。
貫通抱擁とは、女性が何かを取ろうとして相手の男性に倒れかかり、男性が女性をしっかりと受け止め抱きしめるという抱擁です。女性は、相手の男性に胸を押しつけるようにすると効果的だそうです。
親しくなって、互いに相手の心を知っている場合には、暗がり、人の密集している所、人のいない場所で、二人が徐々に相寄り、かなり長い間にわたって、互いに身体をさすり合うのを、摩擦抱擁というそうです。その際に、壁や柱に押しつけて行う場合を、圧迫抱擁というそうです。
性交に際して行われる抱擁には、蔓草の纏わり（つるくさのまとわり）、木登り、胡麻と米、牛乳と水、の四種類があるとされています。
抱擁は、樹に蔓草がまといつくように、女性が男性に絡みつき、男性にキスをするために顔をうつむけるか、または顔を上げ、男性に身体を任せたまま暫くの間感情を込めて男性を見つめるとよい、とされています。これが「蔓草の纏わり」です。
抱擁は、女性が一方の足を男性の足上に載せ、他の足を男性の太腿に置くか、または女性が一方の腕を男性の背に置き、他の腕で男性の肩を押し下げるようにして、男性に絡みつき、微かにうめき声を出し、男性にキスをするためによじ登るようにするのがよい、とされています。これが「木登り」です。
以上の二つは、立ったままでの抱擁ですが、情熱が昂進したときに行う、寝床に臥してする抱擁は、二人があたかも格闘技におけると同様に、脚と腕とで互いにしっかりと抱き合うべきであり、これが「胡麻と米」だそうです。
また、欲情のために盲目となり、苦痛を無視して、女性が男性の膝の上に座って、顔を向かい合わせて男性にすがりつくか、または寝床に臥して、あたかも互いに這入りこもうとするかのように抱擁すべきであり、これが「牛乳と水」だそうです。
これ以外にも、大腿抱擁、陰部抱擁、胸部抱擁、前額部抱擁があるとされています。男性が女性の一方の太腿あるいは両方の太腿を股の間に挟み、力を入れて挟みつけるべきであり、これが「大腿抱擁」だそうです。
女性が積極的に行う抱擁としては、陰部に陰部を押しつけて、爪痕や歯根をつけたり、あるいは愛打やキスをするために、髪束を震わせながら、女性が男性に乗るべきであり、これが「陰部抱擁」、両乳房を男性の胸に押しつけて、女性が身体の重みを男性にかけるべきであり、これが「胸部抱擁」、口と口、眼と眼とを密着させて、顔を額に押しつけるべきであり、これが「前額部抱擁」というのだそうです。
抱擁は、色欲を生じさせ、欲情を昂進させるものであり、性交に効果を生じさせるために行うものであって、性的恍惚の車輪が廻転する時は、抱擁の種類も理屈も順序もない、のだそうです。
次回は、カーマ・スートラにおいて、性交の前段であるキスや口戯について、詳しく書いてみたいと思います。
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