初めから痛みを快感に感じることは、余程の変態でない限り、無理です。
では、どうすれば、痛みを快感に感じられるようになるのでしょう。快感を得るには恐怖感が邪魔です。痛みから快感を得るのに必要なのは、恐怖を感じてはいけないことです。
一度でも恐怖を感じてしまえば、それ以降その恐怖は消えません。
痛みは更に痛く感じ、苦しみは更に苦しく感じてしまいます。もしそうであれば、きっぱりと止めるべきです。無理をすると、ＳＭ自体が嫌いになってしまいます。
ＳＭ自体が嫌い、全てのプレイが痛い、というわけではなく、そのプレイやそのやり方が自分と合っていなかっただけなので、違うプレイ違う方法で楽しめばよいのです。
では、一度その行為を快感に感じられたら、その後痛みは感じないものでしょうか。
そんなことはありません。自分が感じる肉体的・精神的感覚は、そのもの自体からの刺激とその時の相手との状態、空間によって感じ方が変わってきます。
前回気持ち良く感じたスパンキングも、今回は痛く感じることは、普通にあります。
また、その時の自分の体調や心理状態によっても、感じる刺激は全然違います。
落ち込んでいる時、イライラしている時に、好きなプレイだからといってスパンキングをされても、うっとおしく感じるでしょう。楽しくないと感じるかもしれません。
その時の自分の状態によって、痛みや気持ち良さが変わってくるので、一度気持ち良く感じたから毎回同じように気持ち良くなれるとは限らないのです。
それは、ハードプレイに多く見られる現象です。どうやっても感じることができる好きなフェチプレイやソフトＳＭぐらいの優しいものなら、感じるダメージも優しいので、そこまで感じ方の差はありません。
快感と恐怖は似ていると言われますが、それはなぜでしょう。
それは、快感を感じる脳領域と恐怖を感じる脳領域が近接しているからです。したがって、恐怖と感じながらも快感に感じることがあり得るのです。
その結果、調教の過程でそれが中毒のように身体に染みつき、やがてはハード調教でなければ快感を感じられない身体になっていくのです。
そうなれば、気持ち良さを求める忠実な性奴隷となっていきます。ＡＶで見るような変態女も実際にリアル性奴隷として調教することができるのです。
しかし、その道程は長く一朝一夕で完成するものではありません。かなり粘り強く調教しなければなりません。Ｍ女性やＭ男性を調教する場合は、そう思ってください。
ＳＭプレイにおいて、痛みを快感に変化させるには、恐怖を和らげるエンドルフィンと快感を増幅させるドーパミンの２つの物質を引き出す必要があります。ＳＭプレイでは、非常に大事な要素になってきます。
恐怖だけど気持ち良い、ということが重要です。
例えば、鞭でスパンキング。バラ鞭から始め、音ほどには痛みが少ないといっても、叩いているのだから痛みはある。Ｍからすると痛い、痛いけど鞭を使っている時のご主人様がとても嬉しそう。その後の抱擁で心が一気に緩んで落ち着く。という感じが必要です。
もう少し感情が進めば、痛いけどこの痛みがなんだか心地良い。また、そんな感情に浸っている自分が心地良い。と連鎖していけば、立派なＭ性です。
叩かれるのは痛い。しかし、その後の気持ち良さが堪らない。これが積み重なって、苦痛が快感になる。まさに、中毒症状です。これがＳＭプレイの快感です。
例えば、緊縛して蝋燭。 身動きが取れない上に蝋の熱さ。初めは慣れないので不快に感じるかもしれない。しかし、蝋が垂れるのを感じるうちに、だんだんと気持ち良くなってくる。縛られていることさえ包まれているようで気持ちが良い。
蝋が落とされる瞬間の恐怖。身動きが取れない恐怖。それが分かっている。分かった上での恐怖は、実に気持ちが良い。ということになります。
ＳＭプレイで快感を感じられる源泉はドーパミンです。
ドーパミンは、快感だけでなく、肉体に苦痛を与えることでも出すことができます。
その代表は、断食や、滝行を行う修行僧です。彼らはしばしば、いわゆる神秘体験をしたり、曼荼羅世界を実感したり、 遂には悟りを開いたりすると言います。これは、真冬に冷たい滝に打たれたり、 寝食を極限まで削って読経したりという、 凄まじい苦痛を体に与えることと関係しています。
他にも簡単で緩やかなドーパミンの出し方として、皮膚を刺激する方法があります。
ただ皮膚をさするだけでも効果はあります。冷たい水と温かいお湯に交互に入ることでも効果があります。冷たい（苦痛）と温かい（気持ち良い）と交互に与えることで、脳に刺激を与えて ドーパミンを出すことができます。試して快感を得てみましょう。
次回は、ＳＭについて、書いてみたいと思います。
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