カーマ・スートラ遊女篇

  • 2024-6-16
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遊女とは、男性が彼女を相手とすることによって、性欲の満足と財貨の獲得とを得るという女性です。性欲の満足のために行う彼女らの行動は、一般の女性と変わるところはありませんが、違うのは金銭のためにする行動の部分です。

カーマ・スートラは、金銭のためにする行動は不自然であるとし、金銭のための場合であっても、その行動を自然であるかのように装うべきである、としています。なぜならば、愛欲に耽る女たちに男は深く打ち込むものであるから。無欲であることを装い、常に化粧をし、人目を惹くようにする。遊女は、客を連れてくる人、金銭を持ってきてくれる人、金銭を儲けさせてくれる人、彼女の目的に役立つ人、などを友人とすべき、だそうです。

男性の美点としては、学識あること、雄弁であること、決断力のあること、各種の技芸に通じていること、友情の厚いこと、健康であること、精力あること、慈悲心あること、粗暴でないこと、嫉妬深くなくかつ疑い深くないこと、だそうです。女性の美点としては、美貌、若さ、愛嬌を備えていること、男の美点に惚れてその財宝に惚れないこと、愛の交わりに巧みなこと、正直一途なこと、常に吝嗇(りんしょく=ケチ)でないこと、社交及び技芸を愛すること、などだそうです。

遊女が客を取るに当たっては、客から招待されても直ぐに行ってはならない。なぜなら、得やすい女は軽蔑されるから。彼の意中を確かめるため、使者を遣わし、自分(遊女)に対する彼の情熱の有無、愛妻心の有無、寛容か吝嗇かを十分に知り尽くした後に、遊女はしかるべき人を仲介として彼と情交を結ぶべきである、と記述されています。

遊女は、客となじみを重ねたときには、彼の心を惹き付けるために、貞淑な妻の行状を真似るべきである。ただし、本当に惚れ込んではならず、あたかも惚れ込んだように装うべき。また、遊女は、気分が乗らないときは、仮病を使ってもよい、と記述されています。

情交に際しては、彼の数々の技巧を賞賛し、自らは性愛の技巧を尽くし、彼に教えられた手段は直ちに真似る。自分の身体の秘密の箇所にある欠陥を隠す。彼が彼女の陰部に触れたときには、彼のなすままに任せるべきである、と記述されています。

彼が悦ぶことに自らも楽しみ、彼と喜憂をともにし、彼の妻を知りたいという好奇心を示し、彼に対する愛慕の情を素振りによって示し、酔ったふりをしたり、眠ったふりをしたり、彼が愛着をあらわしたときは彼の言葉に応えるべき。常に化粧をして着飾っていて、疲れたときは彼に寄りかかって彼の胸や額に手を置きそれに愉悦を感じて眠り込む、彼の膝にもたれたり、寝たりすべきである、と記述されています。

カーマ・スートラには、情夫からの金銭獲得についての記述もあります。情夫から金銭を巻き上げるのには、自然の方法と策略によるものとがある。自然に金銭が得られる場合は策略を用いるべきではないとしながらも、策略によって獲得できる金銭を増すこともあろうと、記述されています。策略の内容としては、大切で高価なものを失ったとか、彼のために装飾品を買いたいとか、病気の治療にお金がいるとか、金銭に糸目を付けない競争者が現れたとか。これらを吹聴すれば、金銭を多額に得ることができる、と記述されています。現代においても、同じようなことが言えるかもしれませんね。

遊女は、愛情の冷えた男を彼の性格の変化と顔色から察知すべきである、としています。事例としては、金銭や品物を少なくも多くも与えない、遊女の恋敵と交渉を持つ、約束を忘れる、嘘をついて他所で宿泊する、などです。遊女が男の愛情の冷却に気づいたときには、彼が気づかない間に、彼の最も大事な品を何らかの口実を設けて自分の掌中に入れ、債権者をでっち上げて、その品を遊女から取り上げるようにする、と記述されています。

遊女にとって利益のない男を遠ざける方法についても記述されています。遊女に貢いでいて遊女に愛情を持つ男であっても、遊女にわずかの利益しかもたらさないときには、彼に嫌がることを仕向けて、自然に彼が遠ざかるようにすべき。他に情夫を作って安定を得た後に、策略を用いて容赦なく遠ざける。まさに、金の切れ目が縁の切れ目ですね。

彼が好まない行為の具体例については、彼が非難することを繰り返して行う、彼の知っていることについて興味を示さない、彼の知らない事柄について話す、彼の誇りを卑しめる、彼より優れている人と関係する、彼を公然と軽んずる、などです。

情交に際しては、彼の行為に対して不安を示す、彼の接吻を避ける、局部を覆い隠す、爪痕や歯痕を付けられるのを嫌う、四肢を動かさない、脚を交差して股を開かない、眠りたがる、不能となったときに侮る、歓びの表情をしない、などです。

既に終わった彼とヨリを戻す方法についても記述されています。現在の情夫から財貨を搾り取った後に捨て去る場合には、かつての情夫が金銭を儲けて財産がありしかも彼女に対してなお愛情を持っているときには、元の情夫とヨリを戻すべきである。元情夫が自ら離れていった場合でも、見直して戻ってくれたのであり、多額の財貨を出してくれるのであれば、彼を受け入れるべきである。

遊女は多くの男たちから財貨を搾り取ることが可能なので、一人の男にのみ執着してはならない。場所、時、性愛に関して用いられる身体の部分、自身の美点、技巧の巧拙、他の遊女と比較した場合の優劣を考慮して、遊女は一夜の代金を定めるべきである。巨額の財貨を搾り取るために、客を惹き付けるあらゆる手段を講ずべきである、等々遊女の所得や利益損失や危険に関する次述もあります。

次回は、カーマ・スートラ秘法篇について、書いてみたいと思います。

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セラピスト兼カウンセラーのstar です。

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