陰茎の勃起に関して、賢者タイムという現象があります。
男性は、射精した後、一気に脱力感に襲われたり、猛烈に眠くなったり、あるいは頭が冴えわたるといった現象が起きます。
この現象が続く時間を賢者タイムといいます。
女性はセックスが終わった後も優しく接して欲しいのに、男性は眠ったりタバコを吸ったりして全然かまってくれなくなって、女性が不満に感じたりします。
セックス後の男女の温度差がいろいろと問題を起こしてしまいます。
なぜ男性には賢者タイムが存在するのか。
それは野生動物としての本能がそうさせているという説があります。
セックス中は非常に無防備な状態なので、動物にとって外敵に襲われる危険な時間です。したがって、射精後は一刻も早くその危険な状態から脱し、自分や雌を身の危険から守らなくてはなりません。
そのために、雄は射精が終わると、性欲を抑え、すぐに冷静沈着な状態になるよう本能がプログラムされているようです。
男性の中には、賢者タイムが起こらず、勃起したまま抜かずの何発という猛者もいるようです。
羨ましい限りですね。
賢者タイムという現象は、性ホルモンであるプロラクチンに由来する生理現象です。
男性は、射精・オーガズムに至った後に、プロラクチンという性欲を抑えるホルモンが大量に分泌されるため、急速に性欲を失います。
すると、頭の中がすっきりして冷静モードになります。
その後、身の危険がないことを察知して、眠気や脱力感に襲われるようです。
同時に、愛情や信頼といった感情を生み出すオキシトシンと呼ばれるホルモンの分泌が低下することで、スキンシップへの関心が希薄になります。
中には、女性が余韻でまとわりついてくることに対して嫌悪感を抱く人までいるそうです。
一方、女性は、オーガズムに達した後は心身ともに満たされていて、ドーパミンやオキシトシンの濃度は高いままです。
男性に比べると快感から目覚めるのは遅めで、冷静さを取り戻すには、少し時間がかかるようです。
したがって、男性が眠ったりかまってくれなくなると、女性は不満に感じます。
女性も、セックス後にプロラクチンの分泌が促されるので、賢者タイムが発生する人もいます。
しかし、セックスでオーガズムを迎えた後、女性がどのように過ごしたいかは、個人差があります。
セックスに積極的で何回もオーガズムを味わいたい人もいます。
恍惚と余韻に浸ってぐっすり眠る女性もいます。
プロラクチンは、分娩後、乳児の母乳吸引刺激により分泌量が増加します。乳汁の生産を増加させたり、子の世話などの母性行動を促進するホルモンでもあるので、女性は最低でも子が乳離れするまでは女賢者となっているといえます。
一時的な賢者タイムではなく、数か月も続く賢者モードも珍しくありません。
また、プロラクチンは、性腺抑制作用を持ちます。
具体的には、卵巣機能を抑制することで、排卵が起こらなくなります。
そのほか、一時的な性嫌悪に陥り、性的なものを遠ざけたりセックスを拒んだりします。
場合によっては、男性パートナーの存在自体を疎ましく思ったりすることもあります。
子育てに専念するための本能的なものでしょう。
女性が賢者モードにあるときにセックスを迫っても、拒否されてしまいます。
その後、乳離れができて、子育てが一段落したら、プロラクチンの分泌量が減少して、生理も復活し、女性の性欲も復活して、セックスが再開されるでしょう。
出産後に初めてオーガズムを感じられるようになった女性も少なくありません。
場合によっては、潜在化していた強い性欲が顕在化するかもしれません。
子育てが落ち着く頃は、年齢的に夫は性欲が減退する時期であり、一方で妻の性欲が強くなってくると、いろんなことが起きかねません。
女性の性欲にきちんと応えられるよう、男性は頑張りましょう。
次回は、勃起シリーズの仕上げとして、EDについて書いてみたいと思います。