日本性機能学会の定義によると、性欲、勃起、性交、射精、オーガズムのいずれかひとつでも欠けるか不十分なものを性機能障害といいます。
このうち勃起が不十分または不可能なものを勃起障害または勃起不全といい、英語の略称でED(erectile dysfunction)と呼ばれます。
EDとは、完全に勃起ができない状態だけではありません。
勃起に時間がかかったり、コンドームを装着しようとすると萎えたり、行為中の中折れなどで満足のいく性交ができない、と感じる人は、いずれもEDの疑いがあります。
専門的には「性交時に十分な勃起が得られないため、あるいは十分な勃起が維持できないため、満足な性交が行えない状態」と定義されています。
ストレスなどの心理的な要因で起きるEDや、事故によるけがや手術の後遺症としてEDになる場合や、生活習慣病によって起こるEDなど、様々な原因があります。
日本では、高血圧や糖尿病、前立腺疾患、肝機能障害などの生活習慣病にかかっている人の約80%がEDであるといわれ、それにストレスなどによるEDを含めると、一千万人を超えるともいわれています。
年齢別にみると、40歳代で20%、50歳代で40%、60歳代で60%の人がEDというデータもあるそうです。
EDは、身体に問題のない機能性EDと身体に問題のある器質性EDに分類されます。
機能性EDには心因性と精神疾患性、器質性EDには血管性、神経性、内分泌性、陰茎性とがあります。それぞれが重複する場合もあります。
心因性のEDとは、日常の強いストレス、過去の性交渉における失敗の記憶、性交渉に不慣れで上手くいくかどうか心配、極度の緊張、など心理的な要因でEDになるケースです。
精神疾患性のEDとは、うつ病などの精神疾患によりEDになるケースです。
夫婦関係の気持ちのズレや子作りのためのプレッシャー、家庭内のストレスなどの影響で妻に対してだけEDになって、セックスレスになっている夫婦も少なくないでしょう。
そのほか、行為中に気になることを思い出したり、相手の女性から言われたことが気になったりして、一時的にEDに陥ることもあります。
器質性のEDとは、交通事故などによって脊髄を損傷し脳からの神経伝達が阻害されたり、骨盤内手術による末梢神経の障害などの神経の障害、陰茎の外傷、心臓や血管などの身体に問題があるためにEDになるケースです。
糖尿病、高血圧、肥満などの生活習慣病、男性ホルモンの低下、老化などによってもEDになります。
動脈硬化等の血流が悪くなって生じるEDは、血管性のEDと呼ばれています。
器質性のEDは、身体的に勃起自体がダメになるケースで、機能性のEDと違って、自慰を試みても勃起が困難なケースが多く認められます。
機能性・器質性のほかに、薬の副作用によって起こるEDもあります。
降圧剤、坑うつ剤、胃腸薬の一部に副作用としてEDになることがあるといわれています。
EDは、適切な治療や薬で治すことができます。
バイアグラなどの薬の服用、注射による治療、器具を使った治療、カウンセリングなど、その人にあった治療を行えば、治ります。
かかりつけの医師や専門医に相談してみましょう。
次回は、EDの原因について、詳しく書いてみたいと思います。