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仙道房中術（せんどうぼうちゅうじゅつ）とは、閨房における男女交合の実践法で、生命の延長を求める養生術です。のちに道教に取り入れられ、重要な不老長生の術となりました。この長生法は、体内の陰陽二気を調和させて体力の消耗を防ぐ術です。
ただの房中術ではなく、仙人になるために必要であった房中術。あらゆる病と呪いを解き放ち、老いることも無くした状態を目指したのが、仙道房中術です。
不老不死の仙人になるためには、煉丹術（れんたんじゅつ）を極めることが必要とされていました。広義の煉丹術は、外丹術と内丹術に分かれますが、一般的に煉丹術と言えば外丹術の方を指します。
外丹術においては、丹砂（硫化水銀）を主原料とする「神丹」「金丹」「大丹」「還丹」などと称される丹薬（たんやく＝ねりぐすり）が服用されました。
丹薬とは、不老長生、神仙を目的として作られた薬です。非常に多くの種類があり、原料を融解したり、昇華させたりして製造します。このことを煉丹と言います。三国時代から盛んになり、唐代以後まで熱心にその製造が試みられました。
丹の製造は秘密を守るために原料物質の正式名称を伏せて隠語を用いられており、解釈の違いもあって、非常に難解なものとなっています。主原料を密閉容器に入れて長時間加熱し、効力のある丹を得るために、精進潔斎などが必要とされました。
丹薬の原料は、丹砂、水銀、石黄、鉛や砒素の化合物が用いられ、そのために中毒による死亡事故もしばしば発生しました。有名な例では、唐の皇帝が６人も丹薬の服用によって身を亡ぼしたというものがあります。不老不死薬としての丹薬の製造は、宋代になると次第に衰えていきました。
不老長生のために外的な物質を求める外丹術に代わり、不老不死の素となるものを体内に求める思想が興り、これが内丹術の考えにつながっていきました。
内丹術は、存思・房中・行気・吐納などの気の養生術を、胎児の成長過程の再現に結び付けて作り出され、発展したと考えられる一連の身体技法です。
内丹術は、外丹術における外的存在である物質としての丹の錬成を、自己の心身の内なる修煉のプロセス（聖胎）として行うものであり、「性」（こころ）と「命」（からだ）の心身一体を修める「性命双修」が必要とされています。なお、内丹術は、現代の「気功」の重要な源流の一つとなっています。
その後、内丹法（内丹術）は、「清修派」と「双修派」の丹法に別れていきました。禁欲的で一人で行う単修法が清修派で、中国の修行者のほとんどはこの丹法です。
房中術を取り入れたのが、男女二人で修行する双修派の丹法です。双修派の丹法は、その接触形態から二つに分かれました。男女が肉体的に交接することで気を循環させる「体交法」と、肉体の交接をせず「神（意識）」のみで行う「神交法」です。
体交法は、肉体的な交接により気のやりとりを行い、気の循環を図ります。気のやりとりの無いものは通常の性行為であり、内丹法としての房中術ではないとされています。
体交法は、交接により男女の双方で気のやりとりを行いますが、効果を出すためには双方ともみだりに精を漏らしてはならないとされています。
他に、男女の片方が一方的に相手の気を奪い取る「玉女採戦」（ギョクジョサイセン）や「採陰補陽（サイインホヨウ）」などがありますが、奪われる側は体をひどく損ねるとされ、問題視されました。
神交法は、隔体神交法とも呼び、肉体での交わりはせずに、離れた所からお互いに意識だけで気のやりとりを行います。要点は、男は衣をゆるめず、女は帯をとかず「男不寛衣、女不解帯」。神明のごとく敬い、父母のごとく愛せ「敬如神明、愛如父母」。つまり、厳粛実直の気持ちで、相手に対し父母に対するがごとく淫念を持たずに愛し、相手から離れて静かに向かい合って、意識で気を交わらせる、とされ、体交法よりも効果が高いと言われています。
しかし、男女の片方が一方的に相手の気を奪い取ったり、精を漏らしてはならない、肉体での交わりはせずに離れた所からお互いに意識だけで気のやりとりを行う、というのはつまらないですよね。
男女の交わりによって不老長寿を得ようとする中国古来の養生術である房中術を取り入れて、肉体的な交接（セックス）により、双方向で気のやりとりを行い、気の循環を図り、健康増進を図る方が良いですよね。これを、「男女双修」と言います。
不老不死は不可能ですが、男女ともに健康で長生きすることは可能だと思います。房中術を理解し、愛し愛され、気持ちの良いセックスをすることは、健康長寿の秘訣であろうと思います。
次回は、前戯、クンニ、挿入、ピストン運動、体位などの、具体的な房中術の奥義について、書いてみたいと思います。
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