性依存症は、アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存と同様、精神疾患である依存症の一つです。ギャンブル依存や買い物依存と同じ、プロセス依存に分類されます。
主に性行為への依存が多いため、セックス依存症またはセックス中毒とも言われます。
依存する対象は、リアルなセックスだけでなく、オナニーやAVへの過度な耽溺および収集、強迫的な売買春、乱交、露出や覗き、性的ないたずら電話、インターネットを介したアダルトコンテンツなど、全ての性的な活動が考えられます。
セックスをしている時には、脳から快感物質が放出されます。快感物質が放出されていると、不安から一時的に逃れることができます。その快楽や逃避行為に依存してしまった状態のことを、セックス依存症と呼んでいます。
セックス依存症の何がいけないのか。それは、セックスが終わったとたん虚しさや罪悪感で自己嫌悪に陥ってしまうからです。また、強制性交、強制わいせつ、痴漢、盗撮、下着窃盗などの性犯罪を引き起こすからです。
セックス依存症になると、社会的・身体的・経済的な損失があるにもかかわらず、性衝動が抑えられず、セックスやマスターベーション等をすることが止められなくなります。
男女ともにセックス依存症に陥る可能性はありますが、特に女性の場合は、不特定多数の男性と性関係を持つことで、望まない妊娠や中絶、性感染症になるリスクがあるので、男性よりも事態は深刻であると言えます。
さらに、セックスをしていない時間が続くと、薬物が切れたときのようにセックスへの渇望感が溢れ出て、心理的な不安やパニック、リストカットや摂食障害などの禁断症状が現れ、それらを抑えるために、危険を承知でさらにリスキーな性関係を求めてしまいます。
男性の場合は、借金をしてまでも風俗通いが止められないケースが多く、最近ではSNSを利用して手当たり次第に、いわゆるヤリ目的で女性と実際に会い、合意があると一方的に思い込み、強引にセックスをして事件化する場合も少なくありません。
さらに、セックスだけに限らず、一日中マスターベーションが止められず、会社内でも我慢できずに行動したり、大事な約束に遅刻してしまうなど、やるべきことの優先順位に逆転現象が起こることもあり、深刻な病気と言えます。
女性のセックス依存症が浮気と違う点は、相手の男性に心的に頼っているところで、浮気であれば相手に少なからず恋心やドキッとする感覚を持ちますが、セックス依存症は、そういう恋の感覚はありません。
セックス依存症とは、生身の人間と肌を合わせることだけに限定されません。AVをやたらと観まくったり、オナニーが著しく多かったり、ちょっと危険な露出行為をすることで精神的な安定を得たり、エロ写真やエロ動画の撮影や収集に過剰にのめり込んだり、なども症状の一つとして挙げられます。
セックス依存症になると、特定の人とのセックスだけでは満足することができず、何人もの人と肉体関係を持つようになる傾向にあります。
セックス依存症になると、自分の快楽のために、不倫をして相手の家族を傷つけてしまう、盗撮や覗きや痴漢などの性犯罪を犯す、セックスの強要で相手に不快感を与えたり人間関係を壊す等、家族や周囲の人に悪影響を与える可能性もあります。
セックス依存症がどんどん悪化することで、日常生活を満足に送ることができなくなる可能性も考えられます。
仕事が満足にできずに失業したり、不特定多数の人と関係を持つことで性感染症にかかったりと、いろんな可能性が考えられます。
セックス依存症は病気です。決して恥ずかしいことではありません。ただ、依存症という病気は、一人で改善するのは極めて難しい病気です。周囲の理解と協力が必要です。
性衝動が抑えきれないような不安を感じたら、一人で悩まず、重症になる前に、また性犯罪を犯す前に、カウンセリングを受けたり、専門の医療機関に相談してみましょう。
セックス依存症は、「性的なものへの関心が強すぎて社会生活に支障をきたすこと」であると考えます。したがって、性的な妄想が強すぎて、仕事に集中できない、ミスをしてしまう、会社を休んでしまう、といった状態もセックス依存症に該当すると思います。
しかし、社会生活に支障を来すこともなく、相手や家族や周囲に迷惑をかけない限り、毎日セックスをやりまくっても、一日中オナニーをしても、AVを観ても、乱交や露出を楽しんでも、毎日性風俗店を利用しても、セックス依存症とは言えないと思います。
セックス依存症は、別名「性嗜好障害」とも言われています。性嗜好は、文化や政治などによって許容範囲が違ってきます。相手によっても違ってきます。多様化の時代、様々な性嗜好を持った人達がいると思います。許容範囲の中で、性の快楽を楽しみましょう。
次回は、セックス依存症の具体的な症状について、書いてみたいと思います。