SMプレイというと、縄や鞭などの道具を使ったり、縛る、叩くなどの痛みを伴う行為というイメージを持つ人が多いでしょう。
確かに、道具や痛みという要素もSMプレイには含まれますが、大切なことは、そうした要素ではありません。それよりも、「想像力をかき立てる」ことと「相手への信頼と思いやり」が大切です。
例えば、目隠しをする場合、あえて視覚を制限することで不自由を強いられる訳ですが、された側は見えない分、よりいっそう想像力が働きやすくなります。制限を加えられることで、自分が何をされるのかを想像し、期待と興奮につながっていきます。
つまり、道具はあくまでも想像力を羽ばたかせるための手段です。縄や鞭といった特別な道具ではなく、タオルやネクタイ、睡眠用のアイマスクなど身近なものでも、快感を高めることができます。
視覚や触覚、あるいは体の動きの自由を奪われるのはとても怖いことですから、相手との信頼関係がなければできません。たとえタオルで手首を縛るようなソフトなプレイであっても、Mの人なら相手に自由を明け渡してもいい、Sの人なら相手を思いやり責任を持てる、とお互いに信頼できる相手でないと、安心してプレイはできません。
SMが発祥したと言われるヨーロッパにおいては、M側に過剰な痛みや生命を脅かすような事態を避けるために、セーフワードという、それ以上はダメの合い言葉をあらかじめ決めておいたと言われています。それほど信頼関係が必要ですし、SM願望をお互いに言い合える関係であることも大切でしょう。
どんなことをすれば相手が喜ぶのかを考え、相手を思いやる。そういった意味では、恋愛関係や普通のセックスと、SMプレイは何ら変わりない行為です。
恥ずかしいのに濡れている、恥ずかしい言葉で語りかける、いわゆる言葉責めですが、これも相手の喜ぶ言葉を発することが大切です。そのためには、どうしたらパートナーが感じるのか、相手の身体のどこが敏感なのか、と観察しなければ、相手が喜ぶ言葉で表現することはできません。
Sは、Mを観察した上で言葉をかけ、その言葉でMが欲情している姿を見ることで支配欲を満たす。観察される側であるMは、Sが発する言葉から自分がどんな状態にあるのかを想像し、言葉責めをされることで更に興奮を高めるのです。
言葉責めは、普段は使わないような単語を使うので、非日常を味わう経験でもあります。普段は使ってはいけない、恥ずかしいと思うような淫らな言葉をあえて使うことで、双方ともに常識から解き放たれ、共犯関係にあるような意識が芽生える。それも興奮を高めてくれるのです。
極論をいえば、お互いの目と視線さえあれば楽しめるとも言えます。無言でじっくり見つめるだけでも、羞恥心は刺激されます。視姦という言葉があるように、視線だけで相手を犯す想像をし、見つめられる側も、そんなに見ないで、という興奮が生まれます。ちょっとした工夫で、お互いの感じ方や興奮の仕方が変わってくるのです。
例えば、相手の裸を見つめながら、綺麗な胸をしてるね、その身体を舐め回したい、という言葉をかけるだけで、お互いの気持ちが高ぶります。視覚を制限しても、視姦されて見られているだけでも、興奮に繋がります、相手への信頼、思いやりに基づいて、コミュニケーションを様々な方向へと発展させることで、快感を感じることができます。
だからこそ、豊富な人生経験を持つ世代にこそ、SMプレイはお薦めです。その知的と痴的のバランスも分かっていただけると思います。
SはサービスのSだという人もいます。それは、Mがどうやったら気持ち良くなるかを考えてプレイをするからです。そういう意味ではサービス以外の何物でもありません。
SMのパートナーや話の合う人を見つけたい場合、どうするのがスマートでしょうか。
本物の人々が集まるところに行くのが手っ取り早いですが、それはちょっと気が引けるという人は、身近なオフ会や飲み会で、とりあえず下ネタを言ってみて、その時の引き具合と食いつき具合を見てみましょう。睨まれたり怒り出す人がいなければ、軽くSMプレイの話を織り交ぜて下ネタを。あとはリアクションを待ちます。
ノリの良い人は「今度連れて行ってください」、「今度一緒に行きましょう」となるし、一見引いたように見えても、あとからメッセージが個人的に来るかもしれません。
本当に心の底からSMネタが嫌な場合は、「二度とそういう話をしないでください」と言ってくると思います。
なお、セクハラやパワハラと言われないように、相手の反応を見ながら、慎重に。
SMプレイに興味はあるけどなかなか踏み出せないという人は、どうきっかけを作ればいいのでしょうか。それは、少しの勇気を出して、そんな雰囲気を感じさせるお店、例えばDRCに行ってみることです。臆することも、緊張することも、恥ずかしがることもありません。そこには、あなたと同じ興味を持つ人が大勢いますから。
次回は、SM調教について、書いてみたいと思います。