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援助交際とは、金銭を目的として交際相手を募集して、デートや売春をする活動のことです。援助交際のうち、若い女性が行うカラダの関係のないデートが主なサービスとなるのが「パパ活」で、性行為が主なサービスとなるのが「売春」です。援助交際は、女性に対する金銭的援助を目的とした男女交際を建前としていますが、実際には売春の別称であることが多いです。なお、女性が男性に対して金銭を支払う交際もあり、これは逆援助交際と言われています。
パパ活とは、継続的に食事やお茶やカラオケなどのデートをする対価として、お小遣いをくれる経済的に裕福な男性(パパ)を探す活動です。児童の着用済み下着等(ブルセラ)の売買が行われることもありますが、これらは性的行為を伴わないため、青少年育成条例には違反しません。なお、お小遣いの金額次第で性交に応じる女性もいますが、18歳未満の児童と性交や性交類似行為等を行った場合は、児童買春となり、処罰されます。
売春とは、「対償を受け又は受ける約束で不特定の相手方と性交することをいう」と法律に定義されています。性交とは、男性器を女性器に挿入することです。したがって、性交類似行為(肛門性交、手コキ、手マン、クンニ、フェラ、ペッテイングなど)は性交に含まれません。また、同性の間では、売春は成立しません。不特定の相手方と定義されているので、例えば愛人やセフレなど、特定の相手とセックスをして金銭をもらっても売春にはなりません。不特定であれば、男性が女性から金銭をもらっても、売春となります。
売春について規定している法律は「売春防止法」です。法律には「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない」と売春を禁止しています。これについては、後日書きたいと思います。
売春は、人類最古の職業の一つであると言われています。また、売春という職業が成り立つためには、貨幣経済の浸透と、家父長制や嫁取り婚が成立していないといけないとも言われています。万葉の時代から日本でも売春は行われていましたが、日本において売春という職業が成立するのは、中世後期の室町期以降であるとされています。それまでは妻問婚がメインであり、女性が優位という時代であったので、貨幣経済と男性優位の家父長制や嫁取婚が成立するまでは、売春は広がりを見せていません。
安土桃山時代になると、大坂の道頓堀に、男性に性的サービスをする女性である遊女を集めた遊郭が作られ、江戸時代になると、江戸の吉原、京都の島原、大坂の新町は、三大遊郭と呼ばれるほどの隆盛を誇っています。遊女の一部は女衒(ぜげん)から売られた女性で、また、雇い主からの折檻、報酬の搾取など劣悪な環境で働かされた女性もいました。
明治維新以後も遊郭は存在していましたが、1872年(明治5年)に、芸娼妓解放令が出され、女衒による遊女の人身売買は規制され、娼婦が自由意思で営業しているという建前になりました。娼妓が届出を行う事によって稼業許可を与え、一定の制限区域(貸座敷指定地)でのみ営業を認め、性病予防のための検査などを義務づけるという、近代公娼制となりました。しかし、前借金に縛られた境遇という実態は変わっていません。
第二次世界大戦後の1946年(昭和21年)、日本の統治を担当していたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は公娼廃止指令を出し、女給による売春を行う「赤線」を除いて、遊郭は廃止されることになりました。赤線と呼ばれる地域では、遊郭はカフェーや料亭などに営業形態を変え、特殊飲食店として警察の営業許可を取った上で、売春婦が私的に売春を行うという建前の下、半ば公認で売春が行われていました。
赤線とは、遊郭などの風俗営業が認められる地域のことで、戦前から警察ではこの地域を地図に赤線で囲んで表示しており、これが赤線の語源です。その周辺地域などでは、非合法で売春婦を置く飲食店も横行し、「青線」と呼ばれました。
その後、「人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約」を批准するための国内法である「売春防止法」が1956年(昭和31年)5月に公布、1958年(昭和33年)4月1日に施行され、これによって赤線も廃止されることになりました。
赤線の廃止に伴い、赤線で働いていた女性は、トルコ風呂に流入して、非公認で売春を行うようになりました。なお、トルコ人留学生が名称変更を訴え出たことが発端となり、「東京都特殊浴場協会」が名称を公募して、1984年(昭和59年)12月19日、トルコ風呂はソープランドと改称されました。
近年、世界的に売春は合法化・解禁の流れにあります。斡旋を違法としている国も多いですが、最近は、斡旋も合法化されつつあります。合法化・解禁の理由は、性感染症対策、性犯罪対策などがあります。性感染症の蔓延を防ぐため、衛生管理を徹底する目的で、政府許可での管理売春が合法化された国もあります。
過去には、前借金で縛ったり人身売買や搾取で性奴隷と言われるような悲惨な状態の売春婦もいましたが、現在の売春は、ほとんどが職業選択の自由による自由意思に基づいて行う売春で、従事者からは、セックスワークとして合法化して欲しいという意見もあります。
正当な労働形態として正面から認めることで、売春で日々の糧を得ているセックスワーカーらの人権や安全を守ろうという趣旨で、2015年には、世界最大の国際人権NGOであるアムネスティ・インターナショナルが、合意に基づく成人の性的労働や成人同士の間での合意に基づく性の売買を支持する方針を決定しています。
次回は、売春を禁止している売春防止法について、書いてみたいと思います。