[PR]命と性ミュージアム / 真面目に命や性について学ぶことができ、また性の楽しさを学ぶことができる女神館
未完成婚とは、「膣への陰茎の挿入が果たされていない夫婦」のことを言います。膣に陰茎を挿入できていれば、膣内の刺激で夫が射精できない膣内射精障害などによって膣性交を最後まで完遂できないとしても、未完成婚ではありません。
多くの国や文化では、夫婦は性的パートナーであり、日常的に性交を行う関係であるとされます。夫婦が性交することは普通のことであり、長期間にわたって性交がない場合は、離婚裁判においては夫婦関係の破綻と認定されます。長期間にわたって性交のない夫婦のことをセックスレス夫婦と言いますが、未完成婚とは、一度たりとも膣性交(膣への陰茎の挿入)が果たされていない、結婚当初からのセックスレスな状態を指します。
未完成婚の定義は、「結婚後一定の年月が経過しているにも関わらず、 未だに一度も陰茎を膣内に挿入していない状態」とされています。未完成婚と判断する期間の長さに関して明確な定義はありませんが、 おおよそ3か月くらいとされています。
現在では婚前交渉(結婚する前のセックス)は普通ですが、婚前交渉がない場合、女性は、大切に思ってくれる誠実な男性であると思い込みがちですが、結婚してもセックスがない場合は、逆に、大切に思ってくれない不誠実な男性ということになります。セックスに対して期待を持っていた女性からすれば、好かれていない、あるいはセックスの悦びを与えてもらえないこととなり、不信感が出てきます。
なお、性交のないことについて、夫婦のどちらも問題と感じていない場合や、不満に思わない場合は、特に問題とはなりません。妊娠を希望する場合でも、膣内射精によらず、マスターベーションによって射精・採取した精液を針のない注射器を用いて膣内に注入するシリンジ法や、体外授精などによっても妊娠は可能です。
未完成婚の年齢層は、生殖年齢の中心年代層である30代が最も多く、中高年にも未完成婚状態の夫婦も存在します。ほとんどの場合は、セックスカウンセラーや医療機関などの介入によって、早期に問題が解決するか、 離婚によって問題が消失するなど、短期間で何らかの決着が着きますが、 未完成婚の中には、10~15年継続するものから、 一生涯未完成婚であるケースもあります。
適切な性教育が実施されていない現状では、結婚してもセックスをしていないにもかかわらず、挙児希望で、不妊治療のため産婦人科を訪れる人も少なからずいるようです。セックスをしなければ妊娠しないのは当たり前です。これは、妊活以前の問題です。童貞と処女で結婚した場合や、性嫌悪や性行為に関心がない場合に起きるようです。このような場合は、セックスなどの基礎的性知識がないので、セックスカウンセラーや医師によって、性教育から始め、具体的な性交の仕方まで教えるそうです。
それぞれにセックスの経験あるいは知識があっても未完成婚の場合は、いろんな原因が考えられます。膣への陰茎の挿入が物理的に不可能、陰茎と膣のサイズの不和(巨根、膣狭窄)、性交経験の不足、膣の湿潤(愛液)不足、膣への陰茎の挿入角度が不適切、膣への陰茎の挿入前に射精してしまい勃起が継続できない場合、膣痙攣、勃起不全、膣閉塞・マイクロペニスなど先天的な性器形成不全、精神的に性交を拒絶、強制性交・性的いじめ・性的虐待の被害経験などによる心的後遺症、両親の性交を目撃した経験などによる性嫌悪、性行為に関心がない、等が挙げられます。
未完成婚は、結婚生活の破綻にも結び付きやすく、このようなセクシャルな問題は、成田離婚のような早期の離婚の原因の一つとしても認識されています。その原因は多肢にわたり、解決が難しいケースも多々あります。
未完成婚の原因としては、性的概念の誤解等の知識上の齟齬から、腫瘍や炎症などの器質的なものに至るまで、 結果として「セックスが出来ない結婚状態」の発生に関わるものはすべて、 未完成婚の発生源となります。基本的には、男性もしくは女性のどちらかに原因・問題がある場合がほとんどで、 男女双方に問題があって未完成婚が発生する場合もないわけではありませんが、 かなり稀なケースになります。
女性側の問題としては、性交恐怖と性交痛が非常に多いとされます。これらは、男女含めた全体の原因の中でも多数を占めます。また、性交恐怖と性交痛は、オーバーラップしている事も多い疾患です。
男性側に限った問題としては、EDが中心となります。未完成婚におけるEDは、新婚インポテンツとも呼ばれます。ED以外の原因としては、重度の包茎、ペニスの先天奇形、外傷後影響、肥満などです。
女性側の原因の中心である性交恐怖の改善は、基礎的な性教育の確認から始まります。性的な知識が非常に乏しいケースが多いので、基本的な内容から、カウンセリングや性教育を行う必要があります。また、女性側の原因のもう一つの中心である性交痛は、男性側の前戯の不足や膣痙攣・処女膜強靭などの行動的・物理的問題が根底にある場合が多いので、性交恐怖症を原因としたケースに比較し、直截な解決が出来る場合もあります。
男性側の原因の中心であるEDの改善に関しては、心因性EDが多くを占めるため、ストレスなどの心因の特定とそのマネジメントが治療上の目標となります。こうした一次介入で効果が現れなかった場合は、バイアグラ、レビトラ、シアリスなどのED治療薬の投与も並行して行われます。
次回は、夫のセックスが下手すぎるについて、書いてみたいと思います。