[PR]二階堂支配人がおすすめする出会えるサイトはこちらになります!(18禁)
紀元前から性をテーマにした絵画や彫刻は世界中に存在しました。日本の春画の原型は、中国から平安時代(12世紀頃)にもたらされた房中術(性行為における技法を示した解説図)の指南書だとされています。以後、日本独自の発展、進化を辿っていきました。
平安時代には、「偃息図」(えんそくず、おそくず)と呼ばれる性的題材を描いた絵画があったとされています。偃息とは、横に寝転んで休むこと、男女が同衾することです。
現存している最古の春画は、平安時代末期に描かれた春画の絵巻物「小柴垣草紙」(こしばがきぞうし)と考えられています。この春画は、平安時代中期の皇族で斎宮の済子女王(せいしじょおう)と、滝口武者である平致光(たいらのむねみつ)との密通を描いたものと推察されています。原本は現存せず、現在残っているのは江戸時代の写本です。
室町・戦国時代になると、春画を描く絵師の数も増加し需要は拡大しました。戦国時代の春画には、性に対する教科書という側面もあり、若者は春画によって性知識を得ていたと考えられています。
また、戦国時代における武士たちの中には、出陣にあたって鎧や具足の中に春画を忍ばせる事で戦に勝つという呪術的効果を期待した風習がありました。それらは「勝絵」(かちえ)とも呼ばれています。武士たちは慣例として戦の前に女性と肉体関係を結ぶことを禁止されていました。春画はお守りとして用いるほか、戦場での緊張を緩和し、性欲を慰める手段としても活用されていたと思われます。
江戸時代になると「春本」(しゅんぽん)の出版も開始され、挿絵として利用された春画の需要は庶民の間で広がりを見せました。
1722年、幕藩体制強化のために打ち出された享保の改革によって春本が禁止されると、春画の需要はさらに拡大しました。当時を代表する浮世絵師たちの多くは春画を描き、浮世絵春画の完成度は飛躍的に向上しました。
菱川師宣(ひしかわもろのぶ)は、1600年代に活躍した江戸時代初期の画家。挿絵としての浮世絵の品質を向上させ、芸術作品として昇華させた立役者です。代表作は「見返り美人図」。春画の製作にも心血を注ぎ、多くの作品を残しています。
鳥居清長(とりいきよなが)は、江戸中期の浮世絵師。美人画で知られています。春画の製作にも積極的であり、横長形式で描かれた「袖の巻」は清長の代表作として広く知られています。
喜多川歌麿(きたがわうたまろ)は、江戸中期の浮世絵師。江戸庶民を題材とした美人画を多く残しました。歌麿の作品の題材となった女性は有名になった程影響力が強く、幕府から再三の表現制約を受けるほどでした。
葛飾北斎(かつしかほくさい)は、江戸後期を代表する浮世絵師。「富嶽三十六景」で知られ、生涯に数万点の作品を残しました。「蛸と海女」などの春画も多く残しています。
明治期の春画は、江戸時代のそれとは異なり、性的表現のみを追求した作品が多く散見されるようになりました。この時代は明治政府による春画販売の規制や写真技術の台頭により、春画文化は下火となっていきました。
明治に制定された検閲制度は、後の出版法などによって拘束力を強め、春画を中心とする国内の風俗文化は終戦直後まで処罰の対象となりました。
国内で需要や評価が一時的に下がった春画でしたが、海外での美術的評価は高く、葛飾北斎、喜多川歌麿、鳥居清長らの浮世絵師が描いた春画は、西洋の画家にも影響を与えたと言われています。
明治期から猥褻物(わいせつぶつ)として取り締まりの対象となっていた春画は、近年に至るまで大きな美術展で飾られることがなく、1980年代頃までは墨で黒く塗りつぶされたもの以外、入手することすら困難でした。
大英博物館の歌麿展が日本で開かれた時も、人気を集めた江戸東京博物館の北斎展も、コレクションに入っていたはずの春画が展示では外されました。
不当に隠されてきた日本の文化が300年の時を超えてよみがえりつつあります。日本初となる大規模な春画展が、2015年、東京の永青文庫特設会場にて開催され、大英博物館やデンマークから、また日本の美術館や個人コレクションから春画の名品が集められ、一堂に会して展示されました。それに続いて、京都の細見美術館でも、春画展が開催されました。東京だけでも21万人以上が来場する人気ぶりだったそうです。来場者の約六割を占めたのは女性たちで、国内で毀損されてきた春画の価値を再評価する機運は高まってきつつあります。
京都の細見美術館では、2024年9月7日(土)~ 11月24日(日)、「美しい春画―北斎・歌麿、交歓の競艶―」展が開催されます。版画・版本の作品に加え、肉筆春画 に焦点を当て、日本の美術館では初公開となる作品など、美麗な春画約70件が展示されます。興味のある方は、是非ご覧ください。
次回は、最近の混浴事情について、書いてみたいと思います。