精子バンクを巡る諸問題(続編)

  • 2022-3-10
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夫が承知で精子提供が行われた場合は、民法の特例法により、生まれた子は夫婦の嫡出子となりますが、夫に内緒で精子提供を受けた場合や、選択的シングルマザーの場合は、精子ドナーが、のちに扶養義務を負わされるなど親子関係のトラブルに巻き込まれる可能性も否定できません。

第三者による精子提供で子が生まれた場合、現在の法律では、例えば、子が裁判で精子提供者の情報の開示を求めた場合に開示されてしまう可能性があります。また、子から認知請求された場合、扶養義務が発生することもあります。さらには、認知の結果、相続権までも認められてしまう可能性もあります。

最近になって、子が自分の出自を開示せよと病院側に求め、裁判所がこれを認める事案が出ています。「出自を知る権利」の問題が出てきて、精子提供者が少しずつ減ってきています。ある病院では、生まれた子にドナーの個人情報が開示される可能性があるという内容が同意書に盛り込まれた結果、匿名を条件に協力してきたドナーのなり手がいなくなり、病院で凍結されていた精子もほぼなくなり、院内の会議で新規の患者は受け入れない方針が決まったそうです。医療機関での精子提供者が減ってしまい、ネットでの提供や提供希望が増えているとも言われています。

出自を知る権利とは、自分の遺伝上の親の情報を知る権利のことです。北欧や英国などでは、子自身が望めば遺伝上の親の情報が開示される権利が法律で認められています。米国や豪州などでも、非配偶者間人工授精で生まれた子達の交流が進み、同じ精子提供者を持つ「遺伝上の異母兄弟姉妹」が見つかる例も報告されています。男性が複数の女性に精子を提供している場合、そこら中に異母兄弟姉妹がいることになり、もしかしたらその子達が恋愛をし、「近親婚」をしてしまう可能性は否定できません。

精子提供によるトラブルについては、①タイミング法と称して女性との性交を目的に近づいてくる男がいる、②秘密にしたい精子提供の事実を友達や会社にばらすと女性を脅して金品を要求する事例、などが発生しています。

被害に遭ったという30代独身女性は、結婚願望はないが母親になりたいという希望があり、精子提供を思いついた。知り合いの男性だとまずいので、全く面識のない人の精子でと考え、SNSに書き込んだ。多数のメッセージの中から学歴や容姿の条件が合った30代の男性を選び、カフェで待ち合わせをして面談し、男性の人間性を確認。その後、ホテルへ移動し、性交をした。生でのセックスは抵抗があったが、どうしても子が欲しかったので我慢した。どうせやるならと、その日は2回、膣内で射精してもらった。見ず知らずの初めて会った男性とセックスをするなんてという気持ちは少しあったけど、必死だったという。その後3回この男性と性交をしたが妊娠しなかったため、連絡を取るのをやめた。

しかし、そこで男性の本性が現れてきた。セックスしたいとか、キミの体を忘れられないとか、気持ち悪いメッセージを送ってくるようになった。結局、全部お金を出してもらえる上、避妊具なしでセックスできる、都合の良い女になってしまっていた。精子を提供するという名目で女性に近づき、体だけを目的とする。そんな男に身も心も傷つけれれてしまった女性だが、今も精子提供による妊娠を諦めてはいないという。

見ず知らずの男性から精子の提供を受けたということは、なるべく他人には知られたくはない。それを逆手に取る悪い男がいる。初めは女性に優しく接してくる。とても精子取引をする男性とは思えないくらい、必要以上に気を使ったり、プレゼントを贈ったりするなど。しかし、女性とタイミング法で体の関係を持った途端に変貌。男は、精子提供を受けるためにセックスをした女だと、友達や会社の同僚にばらす、と脅しをかけてくる。恐喝という犯罪だが、女性が弱みを握られてしまっているため、従わざるをえなくなる。そうすると、どんどん男はつけ上がってきて、要求がエスカレートしてくるという。

性同一性障害特例法で性別変更した場合の親子関係については、FTM(女性から男性への性別変更)の場合、性別変更を行ったことが戸籍からわかるため、戸籍上の結婚をして、第三者の精子提供を受けて子を持っても、夫と生まれた子とに遺伝的なつながりがないことが明らかとなり、従来は、法務省の見解により、出生届を役所に提出しても父親とは認められず、裁判では東京家裁・東京高裁ともに却下され、子の戸籍上の父親は空欄のままで、父親と認められない状況が続いていましたが、2013年12月最高裁は一審・二審の判断を覆し父子関係を認めました。最高裁の判決の後、2014年1月には、法務省も「嫡出子とする」と全国に通達し、出生届のみで父親になることができるようになりました。しかしながら、現在でも、日本国内の登録施設においては、性同一性障害(FTM)の人への非配偶者間人工授精は実施されていません。

一方、MTF(男性から女性への性別変更)で、性別変更前に凍結した自身の精子を使ってパートナーの女性が出産した場合、生まれた子との親子関係については、2022年2月28日東京家裁は、「法律上の親子関係を認めるのは現行の法制度と整合しない」などとし、子の認知を求めた請求を棄却しています。判決は、性別変更した女性には血縁上の親子関係があると認めたが、法律上の親子関係は血縁関係と同義ではないとし、「民法の解釈では出産していない女性と子との母子関係は認められない」、また、「民法が規定する父は男性を前提としている」として男性から性別変更した女性と子との父子関係も否定し、「父とも母ともならず、法律上の親子関係を認める根拠は見当たらない」と結論づけています。同性カップルの婚姻は法律で認められていないため、性別変更した女性と子は血縁関係がありながら法的な親子関係がなく、出産した女性パートナーのみ親子関係がある状態となっています。

次回は、精子提供は不貞行為か、について書いてみたいと思います。

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セラピスト兼カウンセラーのstar です。

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