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房中術の「九法」（きゅうほう）には、膣感覚を高めさせることで女性をオーガズムへ導こうとする体位は、「虎歩」（こほ）、「蟬附」（せんぷ）、「鳳翔」（ほうしょう）、「魚接鱗」（ぎょせつりん）の、四種類があります。
虎歩は、女性が、うつ伏せになって、頭を低くして、尻を高く構えます。男性が、その後方から、膝立ちになって、女性の腹部に手をかけて抱き、ペニスを膣に挿入してから、深く密着します。初めのうちは早く、途中からは普通の速度に戻って抽送すると、膣口が開いてきて、愛液が溢れます。
蟬附は、女性が、うつ伏せになって、体を真っ直ぐに伸ばします。男性は、うつ伏せで、女性に重なって被さり、深くペニスを挿入します。少し腰を上げ、ペニスを小陰唇に触れながら抽送を続けると、女性は高まっ、て急に激しく動き出して膣口が広がります。
鳳翔は、女性は、仰向けに寝て、自分で両脚を持ち上げます。男性は、その股の間にひざまづき、両手で女性の体を支えた姿勢で入り、ペニスを深く挿入して、子宮頸部を突きます。女性に体を揺り動かさせれば、女性の尻が急に男性の体に密着した状態になり、膣口が緩く開いてきて、愛液が流れ出します。
魚接鱗は、男性が仰向けに寝ます。女性は、向かい合ように、膝立ちで、男性に跨がり、ペニスを膣にゆっくり受け入れて、少し入ったところで止めます。浅く挿入した状態を保つのがこの体位のコツであり、深く入れてはいけません。小陰唇は亀頭を浅く包んでおり、この浅い結合のまま、女性が一人で動き、できるだけ長く持たせます。女性が絶頂に達したら、ペニスを抜きます。
この四つの姿勢では、クリトリスは男性に接触しないので、刺激はされません。したがって、膣刺激用の体位ということになります。似たような体位で交わっていても、男性がちょっと体の位置を変えたり、女性が曲げていた足を伸ばしただけで、刺激ポイントが変わってしまいます。
これは反面、膣刺激を行っているつもりが、ちょっとしたことで、知らないうちにクリトリスを刺激していることがある、ということでもあります。
クリトリスと膣を同時に複合的に刺激する体位は、「九法」の中に、「亀騰」（きとう）と「鶴交頸」（かくこうけい）の二種類があります。
亀騰は、女性は、仰向けになり、深く膝を曲げてできるだけ胸の近くまで引き付けます。男性は、女性に向かって膝立ちになり、女性の足を押して、膝を女性の乳房に触れさせます。男性は、女性の足に被さるようにうつ伏せになり、ペニスを深く挿入します。男性が前方へ体を倒し気味にすると、ペニスの背の部分がクリトリスに当たって、クリトリスを刺激します。
この体位では、男性が前方へ体を倒せば倒すほど、ペニスが膣に出入りするとき、ペニスの上側がクリトリスをより強く刺激することになります。後方に戻ればクリトリスへの刺激は弱まるので、女性の高まり加減を観察しながら、調節ができます。
鶴交頸は、男性は正座に近い膝立ちになって、両脚の角度を開きます。女性は、男性の腿に跨がり、男性の首を抱いた形で、膣にペニスを受け入れます。男性が女性の尻を抱えて揺り動かせば、ペニスが、膣を刺激すると同時に、クリトリスや小陰唇を刺激します。
この体位も、男性が女性の尻を抱えて動きを補助するので、その動かし方でクリトリスへの刺激の程度を調節できます。
「九法」は、古い時代であるにもかかわらずＣ感覚とＶ感覚について熟知し、刺激ポイントを絞った体位を完成させていたのは驚きです。
古い時代には、まだ子宮頸部のＰ感覚（ポルチオ感覚）についての理解が足りず、挿入の方法を「深く」「子宮頸部を突く」とは指示しても、そこ止まりで、男性の動き方の説明が詳しく書かれていません。これは、Ｐ感覚の認識不足に起因しているのではないかと思われます。
男性にとっても、女性にとっても、一番深い快感が得られるのは、セックスです。女性のオーガズムに合わせて心置きなく射精することは、男性にとって本懐であるとも言えるでしょう。
しかし、「房中術」には、セックスは楽しむだけではなく、男性が「養生」や「養性」を目的として行う、つまり病気の治療や健康増進のためにセックスをするべきである、といった基本的なテーマが全編を貫いています。
したがって、女性と交わっても、女性だけをオーガズムに至らしめ、男性は「接して漏らさず」の精神で射精はしない、という体位が多く紹介されています。
これでは、本当に身も心も満たされるオーガズムを男性は得られず、残念ながら、男性の本懐は不発です。ところが、「房中術」の中に、思い残すことなく存分に射精ができ、快感を楽しむ、という体位の記述がありました。
次回は、房中術が教える、快感を楽しむ体位について、書いてみたいと思います。
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