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2023年10月、戸籍上の性別を変更する際の手術要件が最高裁で「違憲」と判断されました。これによって、トイレや入浴施設などで女性スペースの利用を望むトランス女性の存在を巡り、各地でトラブルが相次ぐのではないかとの懸念がありました。
トランス女性とは、出生時には男性と割り当てられたが、自身を女性として認識しているトランスジェンダーのことです。女性としての自己認識を深めたり、身体的な治療をしてより女性的な状態に近づけていくことが多いのですが、必ずしも陰茎や睾丸を切除するような性別適合手術をしているとは限りません。
また、性別の状況と、性的指向には直接的な関連性はありません。トランス女性だから男性を好きになると決めつけることはできません。トランス女性の中にも、女性に惹かれるレズビアンや、性的関心が他者に向かないアセクシュアル(無性愛者)の人などもいます。
トランス女性は、心が女性なので、女性用のトイレや女性用の風呂を使いたいのは、自然なことです。しかし、治療途中であり外見的に男性に見られる状態においては、痴漢と勘違いされたら困るとか、不快に感じられたら困るとかの理由で、多目的トイレしか使わない人や、外ではトイレを我慢する人までいます。むしろ周りからどう見られるかビクビクして暮らしている人が多いのです。
一方で、変装して「トランス女性」と自称し、女性専用施設に忍び込む悪質な変質者もいます。2023年11月、三重県桑名市の温泉施設で、女湯に侵入したとして男が建造物侵入の現行犯で逮捕されました。男は「心は女なのに、なぜ女湯に入ってはいけないのか」と話したということです。女装でなりすます痴漢は昔からいましたが、性別適合手術が違憲と判断されてから、堂々とトランス女性を名乗る痴漢が出てきました。
トランス女性は、自分の身体の男性的特徴に違和感や嫌悪感を持っていると言われています。そのような男性的特徴を他の女性に晒せば、他の女性が不快感を持つことは、常識的に分かっています。したがって、男性的な身体特徴を晒したまま女湯に入ることは、あり得ないでしょう。
トランス女性は、外出先で女性用トイレに入る時には、周囲の視線が気になり、他の利用者がいないタイミングで入るなど、かなり気を遣うそうです。外出先ではトイレは我慢するという人が多いようです。
このように、本当のトランス女性がいろいろと気を遣っているのに、「心が女だから女湯に入って何が悪い」と主張する人は、偽トランス女性と言っても過言ではないでしょう。しかし、性別適合手術をして親からもらった身体を傷つけたくないというトランス女性もいます。また、性別適合手術を受けていたとしても、トランス女性は女湯に入ってほしくないという女性もいます。まさに、多様化の時代です。
公衆浴場や旅館での衛生管理などに関する管理要領では、「おおむね7歳以上の男女を混浴させないこと」と定めています。トランス女性の公衆浴場や旅館業の施設の共同浴室における取扱いについては、厚生労働省から地方自治体に対して通達が出されており、その内容は、「男女とは、風紀の観点から混浴禁止を定めている趣旨から、身体的な特徴をもって判断するものであり、浴場業及び旅館業の営業者は、例えば、体は男性、心は女性の者が女湯に入らないようにする必要があるものと考えていますので、都道府県、保健所設置市及び特別区におかれては、御了知の上、貴管内の浴場業及び旅館業の営業者に対する周知や指導等について御配慮をお願いいたします」となっています。
男女とは身体的特徴をもって判断するものであることについては、衆議院内閣委員会において、身体的な特徴の性をもって判断する取扱いは合理的な区別であり、差別に当たらない、と厚生労働副大臣が答弁しています。公衆浴場での入浴時に男女を心の性ではなく身体的特徴で区別することは、法の下の平等を定めた憲法14条に照らしても問題はないということです。
つまり、心や戸籍は関係なく、男性器があるなど、外見が男性の場合は男湯、外見が女性の場合は女湯に入るのが公衆浴場のルールで、ルールを破れば建造物侵入など罪に問われるということです。心が女性だと言いさえすればトランス女性だと認められるわけではありません。性犯罪はきちんと取り締まられます。
男女別トイレやジムやスパ、プール等のロッカールームや更衣室では利用者が衣服を着脱し、身体の一部を露出する場所です。一般的に、異性の前での衣服の着脱は羞恥心を感じるもので、また身体を性的な視線で見られるのではないかという不安を払拭するため、このような施設は男女別にすることが社会常識となっているし、一部法令では事業者に男女別のトイレを設置することを義務づけています。トランスジェンダーも、自認する性別とは異なる性別の者の前で着替えをしたくない、同じトイレを使用したくない、というニーズは同じです。
トランスジェンダーが自認する性別で生きること、他者から自認する性別で取り扱ってもらうことは、法律上保護を受ける権利です。トランスジェンダーが自認する性別で生きる権利については、最近の裁判で、トイレについては、女性用は個室があり、使用する際に体を人前で露出する機会はないことから、浴場とは違って、自認する性別でのトイレの使用を禁止することはできない、とされました。今後、男女別の施設・サービスの利用について、判例が積み重ねられていくでしょう。
次回は、性別変更と手術要件について、書いてみたいと思います。