あるイベントで、コンドームソムリエだという女性に会ったことがあります。
彼女は、性感染症の予防と男女の性生活力向上を目指す、実物を触って嗅げるコンドーム試触会プロデューサー兼コンドームソムリエで、現役の保健室の先生です。
彼女は、どれだけ多くの女性とセックスをしたかという話ではなく、どのコンドームだとレベルの高いパフォーマンスに導けるかとか、性感染症についての最新の情報交換とか、指に装着するフィンドムの普及とかを普通に話し合えるくらいに、日本人男性のセクシャルリテラシーを上げたいそうです。
なお、フィンドムという商品は、ラテックス製のフィンガーグローブで、指に装着する専用のコンドームです。膣や肛門に指を挿入する場合の性感染症を予防できます。
彼女は、性教育をおろそかにしている文科省とか教育委員会の人はいいセックスをしてきていないのではないか、だからセックスを教科書の載せることに抵抗を感じているのではないか、など発信しています。また、いいセックスは精神安定剤にもなるし、自尊感情も高めてくれるし、ＱＯＬ（生活の質）を高める、心身の健康に必要なエッセンスである、とも発信しています。全く同感です。
最近、２００年前に使われていたという、羊の盲腸を使ったコンドームを手作りしたそうです。粘膜にしっとり優しく馴染んで、どのコンドームよりもめちゃくちゃ良かったそうです。
また、コンドームは男性が使うものではなく、二人して使うもの。セックスは二人でするもの。お金を出すのは男性だから男性が用意すべきと考えている女性が多いことを嘆いています。どういうコンドームを使うかは、二人で相談して決めるもの、と提言しています。
コンドームを普段から持っているということは、いつでも誰とでもセックスをするということではなく、コンドームを普段から持っていること自体が、お互いに望まない妊娠や性感染症を予防しようというリテラシーの高さを示すという認識を、皆が持てるようにしたいそうです。
身近な避妊具がコンドームだけという日本の実態にも嘆いています。また、緊急避妊薬（アフターピル）が薬局で販売されていないことも。
コンドームを付けたがらないのは、自分に合ったコンドームに出会っていないからで、いろんなコンドームを実際に触れて、また使ってみて、自分たちに合ったコンドームを二人で見つけて欲しい、と提言しています。
彼女は、コンドーム試触会を企画したり、いろんなイベントや学術会議にも参加しています。また、Twitter でも発信しています。
機会があれば直接話を聞いたり、発信された情報に触れてみましょう。
この機会に、コンドームに関して、いろいろ思うところを書いてみます。
避妊に失敗したときに妊娠するのは女性です。それなのに、コンドームによる避妊は男性に決定権があると思い込んでいる女性が多いです。コンドームは男性が用意すべき、どんなコンドームを使うかは男性の好み、使うか使わないかも男性の一存、だから女性は被害者だ、と思い込んでいる女性が多いのではないでしょうか。
セックスは二人でするもので、二人で楽しめないセックスはすべきではないと思います。セックスをするかしないかも、どんなセックスをするかも、二人でもっと話し合うべきだと思います。そして、避妊のためにどのような手段を使うのかも。
欧米ではコンドームは避妊具としてではなく性感染の予防策として用いられています。日本では、主に避妊具として使われていて、性感染症の予防は副次的なものと思われています。しかし、コンドームの避妊率は、一般的な使用で８２％と、かなり低いです。
日本でも、避妊率の高い経口避妊薬（低用量ピル）がもっと気軽に買えるようにすべきと思います。気軽にコンドームが買えるのと同じように。
ピルが普及するとコンドームを付けなくなるので性感染症が蔓延するという意見があるようですが、ピルは避妊目的で、コンドームは性感染症の予防目的であると、きちんと性教育をしないことが根本的な誤りであると思います。
性教育は寝た子を起こすからダメだという声が大きいように思います。寝た子は勝手に起きてしまいます。知識のないまま欲望に任せてセックスをすれば、望まない妊娠や性感染症に感染する危険性が高くなります。
自分の子のため、自分の生徒のためを思うなら、きちんと性教育をすべきと思います。性教育をするからセックスに興味を持ってめちゃくちゃになってしまうのではなくて、セックスに興味を持つのは止められないから、きちんとした知識を持ってめちゃくちゃなことをしないように、性教育をすべきと思います。
これは、青少年だけでなく、きちんとした性教育を受けていない中高年も同じです。
次回は、学校で教えてくれない避妊方法について、書いてみたいと思います。
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