アドレナリンは、興奮したり緊張したときに脳を活性化させるホルモンであり、脳細胞を刺激する物質です。アドレナリンが常日頃放出されている人は、若々しい身体に艶々とした肌、そしてイキイキとしています。
似たような名称でノルアドレナリンという物質があります。ノルアドレナリンは、別名怒りのホルモンとも呼ばれ、ストレスで興奮状態になったときや痛みを感じたときに放出され、それにより覚醒が促され、かつ、判断力が上がります。
なお、適度な量が分泌されている状態が望ましいですが、過度に分泌された場合は、不安やイライラ、血圧上昇や睡眠障害、血行不良や免疫力低下などの問題を引き起こします。
アドレナリンは、脳の視床下部が身体の危機を感知すると、その指令が交感神経を経て副腎に伝わり、副腎髄質から分泌される物質です。
一方、ノルアドレナリンは、脳内と交感神経の末端から分泌され、主に脳の働きに強い影響を与える物質です。
いずれも、生命の危機・不安・恐怖・怒りを感じた時、あるいは集中力を要求されるようなときに分泌されるホルモンですが、最もわかりやすい違いとしては、アドレナリンが体内をめぐって各臓器に興奮系のシグナルを送るのが主要な役割であるのに対して、ノルアドレナリンは神経伝達物質(脳内ホルモン)として人の思考や意識を活性化する役割を担っているという点です。
分子構造的にはこの両者はよく似ていて、このふたつにドーパミンを加えてカテコールアミンと呼びますが、カテコールアミンは、すべてチロシンというアミノ酸を共通の原材料として、①ドーパミン⇒②ノルアドレナリン⇒③アドレナリンの順で生成されます。
具体的には、視床下部からの指令で、まず交感神経内でドーパミンを経て合成されたノルアドレナリンが、副腎髄質に到達してアドレナリンが合成されます。ちなみに、アドレナリンは副腎以外では合成されません。これは、ノルアドレナリンからアドレナリンへの変換に必要な酵素が副腎髄質にしか存在しないからです。
神経伝達物質であるノルアドレナリンを交感神経の中で合成し、その神経伝達物質を使って副腎にアドレナリンを合成せよという指令を送ります。副腎では、指令を持ってきた神経伝達物質をそのまま材料にしてアドレナリンという体内用のホルモンを合成します。
そして、そのアドレナリンという神経伝達物質を使って各臓器に再度指令(興奮系のシグナル)を送る。こういう仕組みで生成されるので、アドレナリンは体内用、ノルアドレナリンは神経用ということになります。
アドレナリンの作用は、体内の血管の拡張や収縮を操り、場所によって血圧を上げたり下げたりして、血流をコントロールすることで、ストレス下においても、適切な判断と迅速な行動ができるようにすることです。
全身へ血液を送るポンプである心筋は、収縮力を増し脈拍は速くなり、血液循環が活性化されます。すると、筋肉内の血流も多くなるため、筋肉がより多くエネルギーを生み出すことができるようになり、運動能力の向上につながります。
脳を活性化させるホルモンであるアドレナリンを放出させる方法は、恋愛をする、辛い物を食べる、遊園地で遊ぶ、などです。
恋愛をして、好きな人にときめいたり、ドキドキしたときに、アドレナリンが放出されます。女性は恋をすると綺麗になると言いますが、それはアドレナリンの効用です。
今、好きな人がいない、恋人がいない、という人でも、恋愛ドラマや映画の興奮やドキドキ感によって、あるいは好きな俳優を見ているときのキュンとなる気持ちなどによっても、アドレナリンは放出されます。恋愛をしていなくても、これらのドキドキ感やときめき感やキュンとなる気持ちが、女性の美貌に繋がっています。
辛い物を食べると、辛み成分(刺激成分)が小腸から吸収され、血流に乗って脳を刺激します。脳はそれをストレスと感じて、アドレナリンを放出します。それによって脂肪を分解する酵素が働くようになり、新陳代謝が活発になって体温が上がり、冷え性が改善されます。キムチやトウガラシなど辛い食材を鍋にして食べれば、冬の寒さも吹き飛び、肌も綺麗になれて一石二鳥です。
一日中遊園地で楽しんだのに、疲れるどころか肌がイキイキして綺麗になった。その日の夜は書類や宿題が早く片付いたり、次の日の仕事が軌道に乗ったり、ということがあります。これも、アドレナリンの効果です。お化け屋敷のドキドキ感、絶叫マシーンなどの興奮、アトラクションでのハラハラ、ショーのときめき感、これらによって、アドレナリンが放出されます。
アドレナリンは体内で生成される美容液とも言われ、若さと健康、美肌のために欠かせないホルモンです。また、食欲低下、脂肪燃焼促進、新陳代謝アップの作用があるため、ダイエット効果が期待できます。積極的に、日常の中で、ときめき感やドキドキ感といった感情を楽しみ、アドレナリンを放出させましょう。
次回は、愛情ホルモンと言われるオキシトシンについて、詳しく書いてみたいと思います。