最近、膣内射精ができない男性が増えてきています。オナニーでは射精できるのに膣では射精することが困難な症状を、膣内射精障害と言います。遅漏も、その中に入ります。
TENGAの調査によると、腟内射精障害の潜在数は推計270万人だそうです。これは成人男性の約20人に1人です。
男性がなかなか射精できないと、女性は、自分の魅力がなくなってしまったのではないか、膣が緩くなってしまったのではないか、と男性を満足させられなかったことに対して、落ち込んでしまったり、ショックを受けてしまいます。
女性を悲しませたくないと思っても、女性はイッた演技はできますが、男性はイッた演技ができません。精液が出ないので、すぐにバレてしまうからです。
どんな女性としてもダメな場合もあれば、特定の女性の時だけ射精できない場合もあり、心因性によるものが多いようです。
膣内射精障害の原因は、①刺激の強いオナニーによって膣の刺激では物足りなくなる、②加齢や体調不良、③女性側の骨盤底筋の弛緩により刺激が弱い、④興奮の欠如、等が挙げられます。
長い間刺激の強い方法でオナニーをしていると、膣の微妙な刺激では弱すぎて射精できなくなってしまいます。
例えば、床やシーツに男性器を擦りつけるなどの強い摩擦や圧迫、また電マで振動を与える場合など、男性器が必ずしも勃起していない状態でも射精することもあり、これに慣れてしまうと、セックスの時に弊害が現れます。
セックスで男性が射精をするのは、ピストン運動によって、陰茎亀頭などの性的に敏感な部分に対して、女性の体温や愛液による触感、適度な圧力と膣壁による摩擦、膣内が陰圧になることによる吸引作用などの性的刺激が複合的に加えられて、男性をオーガズムへと導くからです。
男性のオナニーの一般的な方法は、利き手でペニス全体を上下にシゴくという方法です。
いわゆる皮オナニーと呼ばれるもので、手のピストン運動によって、竿の皮が上下に動くことによって快感が得られますが、かなり強くしないと射精に至りません。これに慣れてしまうと、膣の弱い微妙な動きでは射精できなくなってしまうことがあります。
性風俗店では、利用客の回転率を高めたいために、快感を感じさせるというよりは、いかに早く射精をさせるか、という視点で、手コキを行います。手でやる早さに慣れてしまうと、腰の動きはそこまで早くはないので、膣では射精しにくくなってしまいます。
膣圧は握力には遠く及ばないため、強い握力によるオナニーが習慣化した場合、セックスの時の膣の物理的刺激では射精に至らないことがあります。また、セックスによる膣刺激とは異なる物理的刺激、例えばオナホールの使用等によって射精に至るようなオナニーが習慣化した場合にも、膣の刺激では射精に至らないこともあります。
精神科医師の臨床例では、膣内射精障害のうち、強すぎるグリップが原因とみられる症例は22%であると報告されています。また、射精障害のない男性のオナニーの握力は平均4.25kgであるのに対し、障害が見られる男性は10kgを越えていたそうです。これらのことから、膣圧が慣れ親しんだオナニーの際のグリップ力よりも弱すぎるために射精に至る事ができないと結論付けています。
興奮の欠如としては、過激なAVの観すぎで女優の過剰な演技に慣れてしまい、生身の女性に興奮しなくなり、現実離れをした行為でしか興奮が得られなくなってしまうことがあるようです。
膣内射精障害の範疇である遅漏は、膣内で射精はできるが、射精に至るまでの時間が本人の意思に反して過度に遅れることを言います。途中で疲れて中折れになることもあります。
若い時は征服感や射精によるオーガズムで満足する男性が多いですが、経験を積んでくると、自分の射精よりも、女性が悦ぶのを見て満足するという男性が出てきます。射精までに時間がかかることもあって、長時間セックスを楽しめることになります。
ただし、長時間すれば女性が悦ぶとは限りません。男性本位の独りよがりのセックスは、女性の体を使ったオナニーであり、女性が楽しんだり気持ち良くなったりできないことがあります。気持ちが乗らないと、濡れてこなくなり、長時間の挿入によって膣内が擦れて傷ついたり腫れたりするなど、大きな苦痛をともなう場合があります。
男性が中高年になっても自分本位のセックスしかできないと、遅漏は女性にとって苦痛でしかありません。早く終わって欲しいから、喘ぎ声をあげたり、イク演技をする女性がかなりいるようです。
遅漏で長くセックスを楽しめるようになったら、射精にこだわらず、女性が心ゆくまで楽しめるセックスを提供してあげるのが男冥利ではないかと思います。
次回は、膣内射精障害の治療について、書いてみたいと思います。