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オーガズムとは、女性の快感の頂点を示す言葉で、性的な興奮が極限に達して、子宮と膣の周辺の不随意筋(骨盤筋群)が弛緩と収縮を繰り返す0.8秒間隔の痙攣が、8秒から20秒間続く現象です。ドーパミンが大量に放出され、強い快感を感じます。
ドーパミンは報酬系の脳内物質と言われ常習化する傾向があります。女性はオーガズムを与えられ続けると日常的に快楽を求め、更に快楽の度合いを深めていきます。女性がどんどん好色になるのは、全てホルモンの生態的な生理現象です。どんなに理知的で優しく優雅な女性でも、一度この快楽の極みに嵌まると逃れられなくなります。
また、女性はオーガズムを迎えるとオキシトシンも大量に放出します。オキシトシンによって快感を与えてくれた男性に対して深い愛情を抱きます。更にその深い愛情は性的な奉仕も厭わなくなります。女性は愛情を抱く男性にも同じように快感を感じて欲しいと願うようになっていきます。女性は抱けば抱くほど相手の男性に夢中になっていきます。
オーガズムの種類は、クリトリスオーガズム、Gスポットオーガズム、ポルチオオーガズム、その他の性感帯オーガズムがあります。クリトリスオーガズムは性的刺激によって反射的に起きますが、それ以外のオーガズムは、刺激が神経を通して脳に届き、脳がオーガズムとして認識します。すると、快楽ホルモンであるドーパミンが大量に放出され、強い快感を感じます。また、愛情ホルモンであるオキシトシンもに大量に放出されます。
クリトリスオーガズム、Gスポットオーガズム、ポルチオオーガズム、脳イキ、ドーパミン、オキシトシンについては、すでに書いているので、そちらを読んでください。
今回は、オーガズムと妊娠について、書いてみます。男性のオーガズムは、射精が伴うため、受精に必要です。女性はオーガズムがなくても排卵が起きるため、受精に女性のオーガズムは必要ないとされていますが、性交中の女性の膣の中に光ファイバーカメラを挿入し撮影を行ったところ、女性がオーガズムを迎えると骨盤筋群が収縮して子宮膣部が反復的に膣円蓋内に溜った精液へと浸り、あたかも精子が外子宮口へと確実に進むようにして受胎の可能性を高めようとするかのような動きを見せたそうです。これについては、反対意見もありましたが、最近肯定的な研究もあります。(後述)
また、オーガズムによって女性の骨盤筋群が収縮してペニスを締め付けることで、男性のオーガズム(射精)を引き起こすとも考えられています。
排卵期には性欲も増進し、比較的オーガズムに達しやすい傾向があり、オーガズムが繁殖力の増強に結び付いているとも言えます。
女性の場合はオーガズムに達したか否かにかかわらず排卵が見られるため、生殖機能におけるオーガズムの役割やその存在そのものが生理学的にも謎に包まれていましたが、アメリカの研究グループは、ウサギを用いた実験で、女性のオーガズムはもともと交尾において排卵を誘発する役割を果たしていたと検証できたとしています。
また、研究グループによると、ウサギなどの哺乳類では、雄と雌の生殖器が交わる経路上にクリトリスが存在し、交尾の際にはクリトリスが刺激されてオーガズムに達すると排卵が起こると考えられているそうです。実験では、雌のウサギにオーガズムに達しにくくさせる作用がある抗うつ薬を2週間にわたり注射したところ、交尾後の排卵の回数が30%減少しました。このことから、ヒトにおいても遠い昔、女性のオーガズムは子孫を残すための役割を果たしていた可能性があるとみています。
多くの哺乳類のメスは発情期になると、オスと交尾をして子どもを生みます。交尾の最中にオーガズムに達すると、特定のホルモン値が急上昇して排卵を促し、受精します。生殖行動にはオーガズムが欠かせません。そのために、膣の内部にクリトリスがあり、オスのペニスの摩擦によってすぐにオーガズムに達する構造になっています。
女性はオーガズムが近づくことにより血流が増加し、子宮は通常時よりも大きくなって上に持ち上がり、それによってより多くの精子を膣内に収容できるほか、子宮頸部の形が変わって精子が一気に子宮に移動するのを防ぎ、よりベストな状態の精子を受け入れることができるという研究があります。
近年の研究では、良好な人間関係や性的快感に関連するオキシトシンというホルモンが放出されると、卵管が液体を吸い込んで膣内の圧力が変化し、妊娠する確率が増加するという結果が出ています。
オーガズムは強制性交(強姦)や性的暴行のような強制された性的接触の結果としても起こる場合があります。強制された性的接触を経験しオーガズムを経験した人の割合は低いですが、このオーガズムにより排卵を誘発する場合もあり得ます。強制性交をされた場合は、婦人科医の診察を受け、適切な対応をしましょう。
不倫で異常に興奮した場合も、オーガズムにより排卵を誘発することがあり得ます。同じ時期に夫と不倫相手の双方とセックスをして、精子が違う二卵性双生児を出産したという記事を読んだことがあります。
ほとんどの人がセックスをしたらオーガズムを感じたいと思っていますが、希に排卵を誘発して、思いがけない事態が起き得ることを、頭の片隅に置いておきましょう。
次回は、オーガズムの上をいくエクスタシーについて書いてみたいと思います。